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「労災休業中でも解雇可能」の最高裁判決が波紋呼ぶ 「こき使ってクビか」と不安の声も

一審二審の判決が覆った

一審二審の判決が覆った

労災保険給付を受けて休業中だった男性職員(40)を、勤務先の私立大学が補償金を支払って解雇したことの是非を争う最高裁判決が6月8日に下された。

判決は、給付金が療養補償の代わりになると初めて判断。解雇を無効とした二審判決を破棄し、東京高裁に審理を差し戻した。この判決に対しネットには、会社が労働者をこき使い、労災になったら容易に解雇できるようになるのではと不安を漏らす声も聞かれる。

「解雇無効が難しくなる」と危惧する人も

労働基準法は原則労災による解雇を認めていないが、仕事中のけがや病気で療養中の労働者が3年経過しても治らない場合、「療養補償」とともに平均賃金の1200日分の「打切補償」を支払えば解雇を可能としている。

今回は労災保険からの給付金が、雇用側の「療養補償」を同質と見ることができるかどうかが裁判の争点となっていたが、一審二審では別と判断され「解雇は無効」としていた。

この判決は新聞報道などで、労災認定を受けた労働者も解雇が可能になった点が大きく取り上げられた。ネットからは「これは酷い判決だな~」という声があがっている。

「最高裁は労働者の人権よりも雇用主を上に置くのか!」
「労働災害とは何か!これこそ使い捨てOK!って判決じゃない?」
「なにこのブラック企業応援判決。安全対策、労働環境も不十分なまま、こき使って、労災になったら『はい、解雇』」

最高裁の判決ということもあり、「今後はより一層解雇無効が認められるのは難しくなりそうですね」と危惧する人もいた。

その一方で、判決は当然という意見も。社会保険労務士の川島英明氏は、アゴラへの「『労災療養中でも解雇可能』とかいうミスリード」と題した寄稿で、判決の正当性を擁護。「驚いたり、煽ったりするメディアの気が知れません」と疑問を呈している。

大学は「打切補償」のほか法定外補償金も支払っている

川島氏によれば、強制加入の労災保険から療養補償給付という形で医療費等が支給されており、労働基準法84条で「労災から同様の給付がある場合、会社は療養補償等の責を免れる」とされているため、「会社が療養補償を支払うなどということは実務上まずありえません」と明かす。

ツイッターには他の社労士から、経営者側の解雇権の行使はやむを得ないのではという書き込みもあった。しかしながらこの社労士は、次のような表現で労働者にとって厳しい判決になりうるという懸念も表している。

「ただ、、、、やはり働く側にとっては、キツイ判決かな。仮に、片腕切断の憂き目に遭って、労災療養&リハビリ中に『腕は生えてこないんだし、クビだね』と経営者側に一方的に見捨てられても合法、となってしまうからなぁ・・・・」

同様に「労働者にとって厳しい判決」というツイートは散見される。

その一方で、判決文によれば大学は「打切補償」として1600万円あまりを支払ったほか、法定外補償金として3回に分けておよそ1900万円を支払っており、これ以上雇用主の責任を負わせるのは酷だろうという見方もある。

あわせてよみたい:裁量労働制で心臓マヒの男性に異例の「労災認定」

 

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