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我が子が突然「理解不能な言語」を喋りだした〈タワマン暮らしの衝撃〉

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東京で暮らしていると、著しい国際化の波が伝わってくるが、23区内のタワマン暮らしだと、特にそれを強く感じるという。家族3人で沿岸タワマンの中層階に暮らす男性(30代)が、その進展度合いに気付かされたきっかけは、子供が「謎言語」を話し始めたことだった。(取材・文:広中務)

子供たちが謎言語で交流していた

「タワマンに住んで5年になりますが、とにかく外国人が多いんです」と男性。ご近所付き合いは挨拶程度だが、同じ階も気づけば外国人だらけだという。

「両隣は中国人の家族が暮らしています。あとは、欧米系らしき家族と、夫婦のどちらかが外国人の方など様々です。あと、よく会う上の階の老夫婦は、こないだ外国人と流暢に英語で会話していましたね。もっとも、タワマンに暮らす外国人は日本語を話す人も普通にいますが」

「隣人は外国人」というと、生活習慣の違いからのトラブルを連想する人もいるが、そうした揉め事は見かけないそうだ。

「沿岸部のタワマンを買うくらいですから、それなりにエリートな方ばかりなのでしょう。とにかくマナーはいいしトラブルは皆無です。コンシェルジュにつまんないクレームをつけているのは、暇な日本人の年寄りばかりですよ」

男性が国際化をさらに痛感したのは、子供を保育園に預けるようになってから。この保育園の利用者は周辺のタワマン住民で、結果的に海外ルーツの子どもが相当数集まっているそうだ。

「自分が保育園に送り迎えする時に、下駄箱やロッカーの名前が目に入るじゃないですか。クラスの3分の1くらいは外国風の名前でした。単なる保育園なのに結果的にインターナショナルスクールみたいになっているのには、ちょっと驚きましたね」

様々な文化圏の人と交流できるのはメリットでもあるが、そこには思わぬ副作用もあったそうだ。

「うちの子は4歳なので言葉も達者になっているんですが、ある時から意味不明な言葉で歌をうたうようになったんです。それに、たまに日本語の合間に知らない言葉が混じるようになったんです。中国語のようなフランス語のような、とにかく謎の言葉で返事をしたりする時があるんです」

理由はすぐにわかった。

「うちの子は保育園で仲良くしている友達の影響を受けていたんです。みんな日本語は理解していますが、自宅では母国語を話すので、保育園では二つの言葉をちゃんぽんにして話しているそうです。そういう多国籍の子供が何人もいるために、子供たちの間で独自言語が生まれていたんです」

異なる原語が混じる中で生まれる言葉は「ピジン言語」と呼ばれたりもする。たとえば、欧米系移民と日本人移住者が入り交じって住んでいた小笠原諸島の小笠原方言は、食べ物が辛いことを「あつい」と表現したりするそうだ。熱い・辛いという両方の意味がある英語の「hot」が由来である。

「日本語が定着していないうちに、謎言語の話者になっては大変だと思い、なるべく子供と過ごす時間を増やして話しかけるようにしました。結果、次第に妙な言葉を話すことは少なくなりました」

確かに、国際交流以前に、家庭内で言葉が通じなくなってしまったら大変だ。ちょうど両親ともに仕事が忙しい時期だったらしいが、子どもとの時間を増やすきっかけとして、ちょうどよい「事件」だったのかもしれない。

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