先日、島耕作のレコードの持ち方が炎上していた。発端は『モーニング』2023年10月18日号の表紙イラストだ。表紙では現在は社外取締役となった島耕作がレコードを手にした姿が描かれている。ところが、島耕作があり得ないレコードの持ち方をしていると話題になったのである。(文:昼間たかし)
これを聞いてピンときたのは若くても40代以上の人だろう。イラストで島耕作は盤面を指で挟むようにレコードを持っている。これは盤面に汚れや傷を付けてしまうもっともNGな持ち方である。そうはいっても、この話を聞いて初めてレコードの持ち方を知った人も多いのではなかろうか。
「CDをレンタルしてMDにコピーしていた話をしたら、まったく共感されませんでした」
もはやレコードは限られた愛好家が使うマニアックなオーディオ機器である。レコードそのものは知っていても、若い人で使ったことがある人はかなりの少数派だ。
この話を聞いて、ふと思ったのは30~40代までは当たり前だったオーディオや家電は既に忘れられた過去の技術になっているのではないかということだ。そうした体験談を集めてみると、次々と集まった。その幾つかを紹介してみよう。
「実家に帰った時に、高校生の頃に使っていたMDプレーヤーが出てきたんです。懐かしいなと持ち帰り、通勤の時に使ってたんです。そうしたら会社で20代の若い社員に“初めて見た!!”と大評判に。ちょっと複雑な気持ちです」(40代会社員男性)
発売直後、まだ7万円以上したMDプレーヤーを購入しクラスでも注目の的になったという。喜んでいいのか悪いのか。さらに男性は、こんな話も。
「当時は、小遣いをやりくりしてはCDをレンタルしてMDにコピーしていたという話をしたら、まったく共感されませんでした」
もはやサブスク全盛の現代、CDをレンタルするという概念すら失われているらしい。1992年に発売されたMDは2000年頃には全盛を迎えるも、MP3プレーヤーの登場で急速に衰退、2013年にはソニーも対応機器の生産を終了している。もはや、30代以下には存在した理由も容易に理解できない過去の遺物なのだろう。
コンデジを使ったことがない部下にも驚愕
さらに、写真はスマートフォンが撮影するのが当たり前になった今では、カメラを触ったことがない20代も存在するという証言も。
「行事で使う予定の貸し会議室の写真が必要になり、部下に何気なく備品のコンデジを渡したら少し考えてから“スマホでいいですよね?”と。使ったことがないので自信がないというんです」(40代会社員男性)
もはやコンデジはスマホに圧されて絶滅危惧種。愛好家以外はカメラをわざわざ買う必要もなくなっている。
一方で、40~50代の中には新しいツールとともにできた最近の若い世代の常識をすんなり受け入れられない人も。昔は会議のメモも手書きだったが、今ではパソコンやスマホで入力、あるいはパワーポイントの画面をスマホで撮影するのが当たり前だ。
「会議中ずっとカタカタという音やスマホの撮影音がしますよね。いまだにあれにイラっと来てしまう自分は老害だと自覚しています」(50代会社員男性)
他にも若い世代のLINEやメールの使い方に違和感があるという人もいた。
「自分が社会人になった頃は、携帯電話でメールが普及し始めた頃です。その頃は遅れることを先方に連絡する際に“失礼だから、いったん電車を降りて電話するように”といわれたものです。それが今ではLINEで連絡が当たり前ですよね。自分が教わったマナーはなんだったのか」(40代会社員男性)
時代とともにツールが変われば、マナーや常識も変わってくる。ジェネレーションギャップを笑い飛ばす余裕を持ちながら変化に対応していきたいところだ。
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