菊池桃子さんが「一億総活躍会議」のメンバーに シングルマザーで2児の子育て、大学院修了も
政府は、一億総活躍社会の実現に向けて設置する国民会議の民間議員に、タレントの菊池桃子さん(47)を起用する方針を固めたと、NHKが報じている。菊池氏は安倍内閣が昨年9月に実施した内閣改造でも「民間から抜擢されるのでは」と憶測が飛び交っていた。
この起用には「どうせ人気取りだろ」という批判も予想されるが、菊池さんはシングルマザーとして2人の子どもを育てながら、大学院に通って雇用政策の修士を取得した努力家という側面も持っている。
「あらゆるところに雇用の憂いを感じる」とコメント
菊池さんは1983年にアイドル雑誌のイメージガールとしてデビュー。80年代を代表する清純派アイドルのひとりとして絶大な人気を誇った。
95年に結婚し2人の子どもを産んだ後、2008年に法政大学大学院に進学。2012年に子どもを引き取る形で離婚し、同年に大学院を修了。現在はタレント活動のかたわら、母校・戸板女子短期大学の客員教授として活躍している。
菊池さんが大学院で執筆した論文のテーマは、人々を孤立や排除から援護し、社会の一員として支え合う「ソーシャル・インクルージョン」について。なぜ元アイドルが、社会問題に興味を深めたのか。「人事マネジメント」誌の2013年10月号で、菊池氏はそのきっかけについて語っている。
「16歳で芸能界デビューした頃から『働くとはどういうことなんだろう?』という問いかけが常に心のどこかにありました。(中略)何年か芸能界で仕事をするうちに、働くことは一生涯の中でとても大きなウエイトを占めるものだと強く意識するようになり、その意識は段階を踏んで大きくなっていきました」
最初は「自己満足で終わるのかもしれない」と思っていたが、勉強していくと自分なりにのめりこんでいった。人口問題に端を発した経済問題や社会保障の問題、雇用に関する法律や性差の問題など「あらゆるところに雇用の憂いみたいなもの」を感じるようになったという。
過去にも「問題打開のイメージは総力戦」と語る
2013年にはNPO法人キャリア権推進ネットワークの理事にも就任。菊池さんは「キャリア権」について、「職業を通じて一人ひとりが成長し、幸せになる権利」と分かりやすく説明している。
菊池さんは、企業の寿命よりも働く人の勤続年数がずっと長い時代になり、個人の職業キャリアを「一つの企業」で支援できる時代ではなくなってきたと指摘。今後は社会全体で「個人のキャリア」を応援する活動に携わっていきたいそうだ。
「日本としては、(人口減少で)国民全員で何とかこの国を守っていかなくてはならないという厳しい状況に置かれていて、この中で、今まではどちらかというと弱い立場にあり、しかし可能性を秘めている私たち女性の就労についても、注目が集まっているわけです」
「私が考える問題打開のイメージは、一言でいえば『総力戦』。日本の国全体が一つのチームになって、社会的な人口動態の変化っていうものを受け止めてほしいですね」
菊池さんは前述のインタビューにこう答えており、「一億総活躍」のイメージにもピッタリだ。こういった経歴を見ると、現役の国会議員たちよりも「人気取りで勉強不足」とはいえないだろう。女性や母親、氷河期世代の問題に大胆に切り込む発言を期待したい。