小林製薬の「紅麹」を巡って混乱が広がっている。同社は3月26日、紅麹成分の入ったサプリメントを摂取していたと見られる1人が腎疾患で亡くなっていたことを明らかにした。また報道によると、76人が健康被害を訴えて入院したという。
小林製薬が製造した紅麹は他社にも提供されており、同社製の紅麹が使用されていた味噌やお酒、いか塩辛、豆腐も各メーカが回収を進めている。
紅麹は古くから着色目的でも使用され、魚肉ねり製品、畜産加工品、調味料、パンやカップ麺などに幅広く使われてきた。
人間用の食べ物だけではなく、猫を飼っている人におなじみの猫用おやつ「ちゅ〜る」にも紅麹が入っている。今回の騒動を受け、Xやネット上では猫への健康被害を心配する声が上がっている。
「人や猫や犬に対する影響が出ていないかどうかを確認中です」
「ちゅ~る」はマグロや鶏肉などを原料にしたペースト状の猫用おやつ。成分表を見ると、たしかに最後のほうに「紅麹色素」が記載されている。
編集部が製造元のいなばペットフードに取材したところ、お客様相談室の電話には現在までに100件以上の問い合わせがきているという。そのほとんどは「小林製薬の紅麹が『ちゅ〜る』に使われているか?」という質問だ。
いなばペットフードは「ちゅ〜る」に使用している紅麹色素は、「小林製薬のものではない」と説明。複数の会社の紅麹色素を使用しているとのことだ。問い合わせが殺到したことを受け、26日午後、企業サイト上で
「現状、弊社使用の紅麹色素につきましては、小林製薬株式会社が供給している関連原料と一切の関係はございません」
と発表した。
しかし、小林製薬の原料でなくても、紅麹色素そのものを不安視する向きもある。これに対していなばペットフードは、
「成分の多くが水分で、紅麹色素は微量ですが、現在、紅麹色素の各供給元に人や猫や犬に対する影響が出ていないかどうかを確認中です」
と回答した。
「ちゅ〜る」にはさまざまな種類の味があるが、ほとんどすべてに紅麹色素が入っている。猫用より認知度が低い犬用の「ちゅ〜る」も同様だ。なお、同社は紅麹色素が入っていない「ピュアちゅ〜る」も販売している。