職場のトイレが不衛生だと使うたびに苦痛になる。それが退職理由になることもあるようだ。
大手コンビニチェーンの店舗で5年ほど働いていた60代女性(埼玉県)は、「トイレにとても嫌な思いもあり、昨年退職しました」と打ち明けた。その店には男女共用の個室トイレが2つあり、従業員だけでなく客も使っていた。ところが、
「男性客は乱暴な使用をするので床や便器はいつも濡れている状態でした。清掃しても次々と汚され……」
と不衛生極まりなかった。そのため「仕事中はトイレを我慢し、帰宅してからトイレに行く」「なるべく飲みものを飲まないように仕事」という不自由さのなかで働いていた女性。取材を申し込み、当時の状況を振り返ってもらった。
無言で使用し、何も買わず帰る客が一晩で15〜20人いた
女性はそのコンビニで週に4、5日働いていた。時間帯は22時から6時まで、時給は1120円だった。深夜帯は昼間より時給が高いが、大変なことも多かったようだ。なぜなら、トイレを利用する客が「数え切れない」ほど多く、マナーも悪かったからだ。
「男女ともに無言でトイレを使用して、何も買わず帰る人を一回の勤務で15〜20人くらい見かけました。申し訳ないとかないんです。勤務中に同じ人が数回トイレに行くこともありました。自分の家のように当たり前の顔をしてトイレを使用する様子は、とても不快でした」
コンビニは住宅街の中にあった。店舗の外にゴミ箱が設置してあり、近所の人が深夜にペットボトルや缶などの家庭ゴミを捨てに来て、ついでにトイレを利用していくことが多かったという。
トイレの使い方も悪かった。特に男性客が汚し、床や便器はいつも濡れている状態だった。こんなこともあった。
「深夜帯でしたのでタクシーを降りてトイレへ直行するお客様がいました。使用後は、吐瀉物や匂いが残っていて、とても不快でした」
同じトイレを使うのを躊躇するほどの汚さだった。そのため水分を取らず、トイレを我慢していた女性。しかし、店員として汚れているトイレを放置するわけにいかなかった。
「22時の始業前にトイレ清掃をしていました。そのあとも汚されるたびに清掃していました。終業の6時前にもう一度点検して、汚れている場合は清掃しました。出勤前にトイレのことを考え、とても憂鬱になることもありました」
「車中泊の人も多く、洗面所で身体を拭いたり歯磨きしたり」
これらのほかにも、女性は驚きの光景を目にしていた。
「トイレを使用した後、手を洗わないで店内の商品を触る人が多いです。ゾッとします。男性も女性もです」
その商品を自分が知らずに購入していると思うと、ゾッとしてくる読者も多いだろう。ほかにも、マナー違反があった。
「車中泊の人も多く、洗面所で身体を拭いたり歯磨きしたり、やりたい放題でした。特に夏はとてもニオイましたので、都度消毒をしてました」
「トイレで飲酒して、空き缶をそのまま放置して帰る人もいました。男女2人でトイレに入って出てこない若者もおりました。コンビニのトイレでやりたい放題です」
用を足す以外の目的でトイレを使われたら、店員はたまらないだろう。ついに我慢の限界が来た女性は5年勤めたコンビニを辞め、転職した。
「コロナ禍はなかなか転職が難しかったですが、やっと転職できて良かったです。現在は、テーマパークのレストランの厨房で働いています。1時間ごとに手洗い・消毒、制服は毎日交換、衛生面に対してとても厳しい職場ですが、清潔なのでとても安心して働くことができます」
現在の職場には「清潔に管理された男女別のトイレ」もあるそう。ようやくトイレを我慢するストレスからも解放されたようだ。
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