70歳以上でも働けるなら「転職やめます」32% 雇用延長制度に労働者のつなぎ止め効果アリ
少子化による人手不足が予想される中、高齢者の需要が高まっている。高齢者雇用安定法の制定もあって、企業は定年退職者の再雇用に力を入れている。この動きは高齢者だけでなく、30~40代の中年労働者にも歓迎されているようだ。
利用者の平均年齢が39歳の転職サイト「ミドルの転職」が、サイト利用者1612人に「雇用延長制度の内容が転職を考えるきっかけになるか」を聞いたところ、54%の人が「なる」と回答。この回答者に「会社の雇用延長制度が何歳までなら転職を踏みとどまるか」を聞いたところ、「70歳以上」と答えた人が60%にのぼったという。回答者全体に占める割合は32%だ。
若手社員のモチベーションに影響ない?
雇用延長制度に「賛成」と答えた人は、回答者全体の実に91%にのぼる。回答者からは「経験を活かしたい」といった積極的な理由があがる一方で、「年金制度に対する不信感」といった消極的なものもあった。
「雇用の延長により、経験の活用、老人化(ボケ、要介護など)の抑止、年金問題の軽減などが見込めると思います」(46歳・男性)
「既存の年金制度に対する不信感が強く、将来的には制度が維持出来なくなる可能性が高いため、老後もある程度の所得を何かしらの手段で得ないと生活が困難になりうると考える」(38歳・男性)
その一方で「長期的に考えると若手の人材育成機会が減少する」(39歳・男性)、「先が詰まっているのが分かると次世代の社員のモチベーションも低下する。ひどい場合は優秀な人間から転職してしまう」(44歳・男性)として、若い世代に対する弊害を指摘した反対意見もあった。
定年が実質的に延長されることで、企業は社員の生涯賃金をコントロールするために、若手社員の昇給カーブを抑制する可能性もある。中高年にとっては望ましい制度も、若いうちに報酬を得て活躍したい社員には迷惑と感じられるかもしれない。
実際に「生涯現役」を目指す高齢者は増えているようだ。ファミリーレストランの「すかいらーく」は9月30日から今まで65歳までだったパート・アルバイト従業員の雇用を70歳まで延長する新制度を導入。スーパーチェーンのヤオコーも、11月にパート雇用を70歳まで延長することを発表した。
そういった背景もあり、ビズリーチの求人検索エンジン「スタンバイ」でのアルバイト探しの人気キーワード(10月)でも、3位に「60歳以上」がランクインしたという。
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