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「実習が素晴らしく時間の無駄でした」 元医療系学生がそう感じた理由

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人生において無駄な経験は何一つないとよく聞くが、綺麗事だと異議を唱える人もいる。高知県の40代前半の女性(医療・福祉・介護/年収500万円)もその一人のようで、

「社会福祉士という資格をとるために、実習に行ったことが、素晴らしく時間の無駄でした」

と批判した。医療系学生が実習先の施設で「勉強」の名のもとにタダでこき使われ、パワハラも横行するなどの問題が取り沙汰されている。女性もその“被害者”だった。(文:天音琴葉)

指導は1か月のうち、たった半日 「残りは、掃除、厨房の手伝い、洗濯…」

実習先は児童養護施設だった。女性は「意味のある実習ならよかったのですが」と前置きし、その実態を語る。

「その児童養護施設では人手不足解消のために実習生を受け入れていたのでしょう。相談員さんの指導の日は1か月あまりの実習中、半日」

女性は1か月もこの施設に通いながら、たったの半日しか実習と呼べる時間を取ってもらえなかったというから驚きだ。では、1か月あまりをどのように過ごしていたのだろうか。

「残りは、掃除、厨房の手伝い、洗濯と、資格に役立たないことばかり。そういった労働も必要ではありますが、資格のための実習でやることではないのでは、と今でも思います。  それでも、実習をこなさないと国家試験が受けられないので頑張りました」

国家試験の受験資格を得るためには、とても実習と言える内容ではなかったとしても、先方の指示をこなす必要がある。実習生がこき使われる理由はここにあるのだ。

なんとか実習を終えた女性は学校に戻って指導教官に、「意味のない実習内容」について報告した。すると驚きの言葉が返ってきたのだった。

「実習を受け入れてくれる施設は限られるので切れない」

しかしこれでは一向に実習生の境遇が好転しない。ただでさえ成り手が少ない福祉業界で、未来を担うはずの学生が酷い場合には実習をきっかけに退学するなど問題になっているが、このままでいいわけがない。一方で女性は、

「今では実習を受け入れる立場ですが、自分のときのような馬鹿げたものにはしないように考えています」

と、かつての実習先を反面教師にしているようだ。こういう人が増えていけばいいのだが……。

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