LGBT特集のイノッチ発言に称賛 「理解者になろうとする前に、自分だったらどうか想像してみること」 | キャリコネニュース
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LGBT特集のイノッチ発言に称賛 「理解者になろうとする前に、自分だったらどうか想像してみること」

2015年は全米で同性婚が合法化され、日本でも東京・渋谷区が同性カップルを結婚相当に値すると認めるなど「LGBT」に注目が集まった年でした。ただし自分の家族から突然カミングアウトされると、まだ戸惑う人が多いのも仕方ないかもしれません。

1月6日のNHK総合「あさイチ」が放送した「こどもがLGBT 親ならどうする?」という特集には、多くの人の関心を寄せたようです。感想をネットに投稿する人も多く、ツイッターのトレンドワードにも入っていました。(文:篠原みつき)

26歳でカミングアウト「肩の荷が降りた」

親に認められないことは子どもとしてつらい

親に認められないことは子どもとしてつらい

LGBTは、Lは女性同性愛者のレズビアン、Gは男性同性愛者のゲイ、Bは両性愛者のバイセクシャル、Tは心と体の性別が一致しないトランスジェンダーなど、性的マイノリティーの人を表す言葉です。さらには、好きになる対象がいないアセクシャル(asexual、無性愛)の人もいて、単純に4種類には分けられません。

スタジオには周囲にカミングアウトしている4人が登場。レズビアンの室井さん(28歳)は、思春期のころは「将来結婚して子ども何人欲しい?」といった何気ない一言が、自分を深刻な気持ちにさせたと明かします。

友人に「レズかよ」と言われてからトラウマになり、自分は恋愛に興味がないというキャラを貫いていました。さらに親に打ち明ける前の葛藤をこう語ります。

「本当に親が大切で好きなので、自分がカミングアウトすることで、(親が)親としての自分を責めてしまうことや、もし親に否定されたらと思うと耐えられない」

そんな思いを10代から抱えたままでしたが、26歳でカミングアウトした後は肩の荷が降りた気がしたそうです。

大学生の松岡さんは、自分がゲイだと気付いたのは小学校高学年くらい。結婚できないかもしれないと不安になり、罪悪感をもって生活していました。39歳の松中さんは自らを「15年間サラリーマンをやってきたゲイリーマン」と明るく紹介しましたが、学齢期には情報がなく「実は女なのか?」と悩んでいたそうです。

「育て方や環境で起きるものではない」と理解

身体は女性、心は男性という杉山さん(34歳)は、声も風貌も男性そのもの。やはり将来像が描けず、「大人になる前に死ぬんだ」と思っていました。15歳の時にカミングアウトし、仲が良かった家族とコミュニケーションが取りにくくなりました。

杉山さんの両親は「自分の育て方が悪かった」「病院に行けば治るんじゃないか」と思っていたそうです。しかし、文野さんから渡された「性同一性障害:性転換の朝」(吉永みち子著、集英社新書)という本を読み、

「性同一性障害は、育て方や環境といった要素で起きるものではない」
「自らの性の違和感は、どんなに頑張っても決して消えない」

と分かってから、少しずつ我が子のありのままを受け止められるようになったといいます。

杉山さんの母親は「私にとっては、自分の子どもが男性だろうが女性だろうが全く関係ない。きちんと生活して生きてくれればいいと思ったときに、悩みは全くなくなりました」と、現在の心境を語っています。

カミングアウトから10年以上、今では親子はなんでも話し合える関係となり、杉山さんは現在、飲食店を経営しながらLGBTや多様性について全国の学校や企業などで講演活動をしています。

「女子」生徒が男子の制服で学校生活が送れる中学も

LGBTといってもそれぞれの課題があり、制服を着たりプールや着替えが嫌で学校に行けなくなったり、職場でカミングアウトすれば翌日からよそよそしくされたりと、日本でLGBTの人たちは暮らしにくい、生きづらい環境が次々紹介されました。

そんな中、文科省は2015年4月、性同一性障害の児童生徒に対する「きめ細かな対応の実施」を促す通達を出しました。埼玉県新座市の中学校では、先生が生徒や保護者にあらかじめ理解を求めることで、性同一性障害の「女子」生徒が、男子の制服で活き活きと学校生活が送れたといいます。

同性婚が認められているスウェーデンでは、制度が整っているだけではなく、幼少期から性別に捉われない教育がなされ、同性婚カップルが差別されることは一切ないそうです。取材を受けたレズビアンのカップルは、精子提供により3人の子どもを出産、仲良く子育てを楽しんでいる様子でした。

ネット上では、イノッチのこんな言葉が称賛を集めていました。

「人として付き合っていけたら一番いいと思うんですよ。ゲイだろうとレズビアンだろうと、いい奴も悪い奴もいると思うし」
「これを見てアライ(理解者)さんになろうとする前に、自分だったらどうか想像してみること」
「日本の社会のためには、みんなが気持ちよく仕事できるのが一番いいわけじゃないですか。制度とか難しいと思うけど、そういう方向に向かっていくしかないんじゃないかな」

広く理解が進み、こんな風に考えられる人が増えれば、少数派と言われる人たちが苦しみ我慢を強いられることが少なくなっていくのではないでしょうか。

あわせてよみたい:NPO法人が「LGBT就活」スタート

 

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