女性は2年ほど前、「婚約者の考えが著しく違っていて辟易した」ことがある。

元婚約者とは結婚前提で、「式の準備をしつつ半同棲」していた。そんな矢先、大学で研究室の新年会があり、「彼は駅まで送迎してくれた」という。

「私がいた研究室は、女性が少なく、同じ学年は2人。ちなみに男性は10名です。新年会に全員が来るわけではないので、その年は6人の男性と私が居酒屋に集う結果となりました。記念撮影して、雑談を楽しんで帰路につき迎えに来てくれた彼にお礼を言い……ここまでは何事もなかったのです」

しかし後日、女性がPCの写真フォルダを開いているとき、彼氏がのぞきこんだことで「婚約破棄」にまで発展してしまう。

「『これ何！？』と、一覧表示のため小さい画像を指さされ、『こないだの新年会だよ』と開いて見せました。まさか、大学の研修室の新年会、同窓会のようなもので、浮気と言われるとは思いませんでした。明らかに一次会だけで帰ってきているのは、迎えに来た彼が一番知っている筈ですし」

「しかし『男ばっかりじゃないか。浮気してきたのか』と怒り出され、研究室には女性が少ないこと、恋愛関係は一切ないことを説明しましたが、『これではハーレムだ。もう行くな』と聞く耳を持ちません」

彼氏は新年会が男性ばかりの集まりに見えただろう。なんと「拗ねて実家に帰って」しまう事態となった。しかも、

「オカンに聞いたけど、やっぱりおかしいって」

と言い出したから驚きだ。

「それまでもマザコン気味とは思っていたので呆れ、『母の評価でものごと決めるなマザコンが』と言ったら、ものすごい罵倒をしてきて、『別れる』と言い出す始末」

ついに別れ話に発展する大ゲンカとなった。

「よく考えたら、半同棲なのに生活費ももらってなかった」

「そんな罵りには慣れていないので傷つきましたが、別れると言っているのに引き留めたくないし、何より浮気などしていないのに疑われて怒り心頭でしたので、婚約破棄し、彼の私物は全部実家に着払いで送りつけました。そしてワンルームへ引っ越しました」

事態は怒涛の急展開へ。価値観の違いはどうすることもできなかった。後日、冷静になってみると、ますますこの決断に確信を持ったようだ。

「よく考えたら、半同棲なのに生活費ももらってなかったし、新年会すら禁止するなんて束縛だし、別れて正解でした。そして今でも、あれは浮気にはならないと思っています」