「最低賃金1500円」を目指し、全国の労働組合が集結! まずは「今すぐどこでも1000円に」と訴える
2月23日、厚生労働省記者クラブで「最低賃金大幅引き上げキャンペーン委員会」の結成記者会見が行われた。
同キャンペーンは下町ユニオン、首都圏青年ユニオン、全国一般労働組合東京南部の3団体が主導。最低賃金の引き上げや非正規労働者の賃上げ、労働組合への加入などを訴えていく。
労働組合の垣根を超えて草の根のネットワークを作り展開する全国初のキャンペーンで、共通スローガンとして「最低賃金1500円をめざして。いますぐどこでも1000円に。」を掲げた。
最低賃金のままでは「働いても一定の生活水準を維持できない」
会見で、下町東京ユニオン副委員長の岡本哲文さんは、安倍政権が最低賃金を1000円に引き上げると言ってはいるものの、「今の経済成長が続いたとしても実現されるのは何年も後になる」と指摘。「今すぐどこでも1000円にということをきちんと訴えていきたい」と語った。
首都圏青年ユニオン委員長の神部紅さんは、ワーキングプア問題に触れた。年収200万円以下でワーキングプアと呼ばれるが、東京都の現在の最低賃金907円で所定内労働時間フルに働いても年収は168万円にしかならない。
「働いても一定の生活水準を維持できない。非正規労働者は色んな形で差別的待遇も受けている。せめてまともに生活できるまともな賃金を欲しいと思うのは当たり前の願いだと私は考えています」
と訴えた。全国21都府県の労働組合が加盟する全国一般労働組合全国協議会の書記長の渡辺啓二さんは、東北の現状について語った。
「東北は最低賃金が最低ランク。また、福島の除染労働者や原発の労働者は公務員の人事院規則に則って危険手当が1万円出るが、本給部分の日当は最低賃金レベルでの労働を余儀なくされている。東北の仲間も頑張っていこうということでキャンペーンに加わらせていただいています」
2月27日に15都道府県で一斉アピール、新宿東口広場で非正規労働者が現状を訴える
結成記者会見には、ほぼ最低賃金ラインで働いているという非正規労働者も出席し、労働環境改善を訴えた。
34歳の男性は2006年から約9年間、都内の仕出し弁当の工場で働いている。職場ではベテランだというが、時給は最低賃金ギリギリの908円。月に5000円の役職手当は付くものの、社会保険や日に1時間ある残業の割増手当はなかった。勤怠管理は15分刻みで、パワハラも横行していたという。
だが、昨年の3月と4月に団体交渉を行った結果、社会保険や割増手当は改善され、勤怠管理も1分刻みになった。パワハラの防止セミナーも開催されるようになったそうだ。「非正規労働者はあきらめている部分があるが、声をあげれば改善できるということを伝えていきたい」と話した。
キャンペーンの第一弾として、2月27日に全国15都道府県で一斉アピール活動を実施する。東京では、新宿駅東口広場で、時給で働く非正規労働者がマイクを持って現状を訴える予定だ。一般の人にも興味を持ってもらえるように、観光地にあるような顔ワクパネルを用意。SNSでシェアしてもらえるような仕組みを作っているという。
その後の予定としては、4月から5月を目途に多くの非正規労働者が働くコンビニ各社の本部に対して賃上げを要請していく。5月頃からは、夏の参院選に向けて各党や候補が選挙公約に最低賃金引き上げを掲げるよう求める院内集会を開催予定だ。同キャンペーンは10月末まで続くとしている。
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