「仕事がどんなに辛くても3年耐えるべき」って実際どうなの? ブラック企業にいいように使われてはいけない!
新年度がスタートし、今年も全国の企業に新入社員がやってきた。SNSなんかを見てみると、新社会人としての日々に戸惑いを見せる若者の声もよく目にすることができる。
中には既にドロップアウトをしてしまった新社会人もいるようだけど、こういう時によく話題に挙がるのが「どんなに辛い職場でも、3年は耐えて様子を見ろ」という言葉だ。(文:松本ミゾレ)
その意味するところは、「職場に飛び込んだら、最初は誰もが右も左も分からない。そんな中で同僚と切磋琢磨し、上司との人間関係を築く中で社会人としてのスキルを身につけていくメリットを逃がすな」と、まあそんなところだろう。
「サビ残パワハラが横行している会社で3年耐えても得はない」
よく言われることだけに、根拠もなく「とりあえず3年は耐えようか」と考える人も少なくない。ただ、こういう言葉も、当てはめるべきケースとそうでないケースがあるのは当然のことである。
4月1日、ツイッターに寄せられたある投稿が拡散され、話題となっている。
「新社会人の皆さん 『どんなに辛くても3年は耐えろ』という言葉を鵜呑みにしないで下さい。 それはあくまで労働環境がきちんとしている中で仕事内容が自分に合っているかを見定めるという意味であり、サビ残パワハラが横行している会社で3年耐えても何の徳にもなりません」
昨今、ブラック企業によって、まさに命を削られながら働く人材も少なくない。本来ならすぐに逃げ出すべきだけど、そういう選択肢を選べなくなっている社会人も多い。足かせになっているのが「とりあえず3年は勤めるべき」という言葉になっているケース、結構少なくない。
「ホワイト3年ブラック3日」という反応も
この投稿をした人物は、恐らくサービス残業やパワハラに、煮え湯を飲まされた経験があるのかもしれない。ツイッターでは、賛同の声も多数ある。
「まず3年も精神が持たないし、よしんば耐えたとして、若い頃の3年を無駄にするというのは取り返しがつかないレベルの失敗」
「正社員になったとき、『3年我慢』と叔父(大手居酒屋人事)に言われたけどサビ残パワハラで死に掛けたから10ヶ月で辞めた」
「ホワイト3年ブラック3日」
などなど、否定する声よりも、肯定する声の方が目立つこととなった。
日々過酷で意味のない残業や、上司からの叱責の矢面に立たされ続け、うつを発症する社会人も少なくない。うつは心の風邪と言われるが、風邪なんて生易しい症状ではない。悪化すれば最終的に、自分で自分の人生を終わらせることを考えるようになる。
現にブラック企業に入社したばかりに「やりがい」や「夢」を押し付けられ、耐え切れずに自殺してしまった人だっている。3年もブラック企業に勤務するなんて、無意味どころか健康を損ねるだけだ。
不毛な努力の中で耐える3年ほど虚しいものはない
仕事を見つけて、そこで3年頑張るという考えは、その全てが間違っているわけではない。たとえば厳しいけど面倒見の良い上司がいる会社だったり、無茶な残業のない会社だったりするなら、3年勤続してもいいだろう。
だけどそういう会社ばかりというわけでもない。よく「努力は必ず報われる」だの「誰かがあなたの背中を見て陰で評価している」なんて言葉を耳にするが、こんな言葉を信じている人は、ブラックにいいように利用されるだけだ。
ブラック企業は、出来る限り人材を薄給で使い潰そうと思っている。人知れずする努力ほど、ブラック企業にとって都合の良い努力はない。人生は短いのだから、ろくな報酬がないのにノルマばかり多い企業など、3年もいてやる理由はない。
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