「地方は娯楽がない」という嘆きに都会民から「こっちもやることないよ」の声 しかし“やらない”と“できない”は根本的に違うのだ

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20代前半の頃、友人の結婚式を地元・宮崎でやったとき、県外から来た新郎の仕事仲間に「宮崎、マジで何にもねえな。ド田舎じゃん」と馬鹿にされたことがある。僕はプライドがないのでその時の心境は無、そのものだったが、同席していた仲間はあわや殴りかかる寸前まで怒ってて、それを新郎が割とガチで制止していた。
あとになって、その暴言を吐いた人物が群馬出身だと判明した際に「あいつ群馬県民のくせに他所の地方をバカにしてたん!?」と大笑いしたっけ。高崎とかで仕事したこと何度もあるけど、あんなん宮崎とどっこいどっこいだよ。でも向こうにはぐんまちゃんがいるからギリ群馬の方がいいかな。
と、冒頭から不要に群馬県民の不評を買う文章を載せたところで、今回は地方あるあるの話をしていきたい。テーマはずばり、“地方には娯楽がない』という一点に尽きる。(文:松本ミゾレ)
「休日に出掛けたい場所ありません」地方在住者の悩み
先日、ガールズちゃんねるに「地方は娯楽がなくて退屈」なるトピックがあがっていた。トピ主は生まれてこの方、地方都市在住。せっかくの休みだって出掛けたい場所がないと嘆いている。
「都会のように大きなライブや舞台などのエンタメがないし、買い物や食事など行く場所は限られているのでもう飽きています。結局、家事、寝る、食べる、ネットで一日が終わります」
このように書き込んでいた。トピック自体も8月23日土曜日の朝っぱらに立てたもの。マジで何もすることがないという話だが、どうも誇張、間違いではなさそうだ……。
田舎ってのは実際に住んでる人なら分かるけど、大抵は今後ろくに発展なんかせず、むしろ尻すぼみ的に寂れていくばかり。映画館が潰れ、商店街が潰れ、大手スーパーすら撤退し、バスの本数もろくにないというような事態が、地方あるあるだし、これらは今後さらに加速していく。人がいなくなってるんだもん。しょうがないね。
で、人がいない場所にはトレンドもアクティビティも不足するのは自然なこと。自然を相手にするレジャー、あるいはパチンコぐらいしか娯楽を提示していない地域というのは実はそう珍しい話じゃない。
僕は定期的に関東に遊びに行くけど、やっぱ上野あたりで降りるとすぐそばの美術館の魅力的な展示をPRするチラシなんかすぐ目に入るが「ああ、こういうのがうちの近所にあったらなぁ」と思っちゃうよね。
田舎の美術館なんて収蔵品マジで変動がないし、定期的な展示イベントはあれど、やっぱり都市部に比べるとその規模たるや……。舞台やライブとかは興味がないのでどうでもいいけど、そういうのが好きな人には痛手だよね、田舎暮らしって。
「東京だけど仕事、育児、家事、寝る、食べる、ネットで一日が終わる」とはいうけど……
さて、このトピックへの反応を色々と読んでみると、面白い謙遜の傾向に気付く。意外にも都市部在住の人たちからの書き込みの中に「いや、うちらもやることないんだよ」という声を見ることができたのだ。
「東京だけど仕事、育児、家事、寝る、食べる、ネットで一日が終わる」
「渋谷にいるけど土日は人が多くて出ない」
「東京都心に住んでるけど、私はインドアなのと人混みが嫌でそうだよ 仕事以外は引きこもって、ネット、Netflix、YouTubeで1日過ごしてる」
こんな感じで。
でもね。これは地方に暮らす人にとっては全く何の足しにもならない回答とも言える。
うちら田舎者は、家のすぐ近くに映画館なりディズニーなり東京ドームがあったら嬉しいのにね、という話をしているの。
数分おきに電車が来るとありがたいね、という話もしているし、田んぼや畑以外に目を引くロケーションがあると嬉しいなって話をしているわけで。色々と娯楽の選択肢が数多くある中で、あえて何もしないとか、仕事で疲れてて家にいるだけ、という話なんか聞きたくないの。
「行こうと思えば行ける」が現実的な土地に住むということは、とても素晴らしく、恵まれていることなのだ。そこに住んでると、それが当然だからそう思えなくなるんだけどね。
都会を羨ましがるだけでは不健康、田舎者の君は趣味を増やす努力をしているか?
しかし、僕が一番言いたいことは、地方在住ってだけで全部諦めて家でネットだけしてるのもアレだよ、という話。
たとえばだけど、地方在住だからって趣味がないとか、娯楽がないとか文句ばかりの人もいれば、ちゃんと趣味を楽しんでる田舎者もいるわけで。後者の場合は娯楽があるので退屈もせず、結果としてこういうトピックを立てて愚痴るようなこともしない。
ネットに見る田舎者の都会憧れ話ってのは、結局田舎にいて、なおかつ趣味もないから愚痴ってるだけの人のたわごとであって、そういう人は根本から考え方を変えないとダメだと思うんだよね。
僕は田舎のプロなので田舎の楽しみ方も知っている。今年は田んぼの持ち主に頼み込んで泥を分けてもらって、その泥中に紛れている野草を発芽から開花までじっくり観察した。意外と食べられる野草もあるので、面白いよ。
あと水路で何個か摘まんできた在来タニシがいつの間にか水槽の中で殖えてるのを見たり、ベランダに巣作りしたアシナガバチを毎日観察したり。こないだなんて家の前にコクワガタ飛んできたからね。ラッキー。世界一幸せやで。コクワは都会にもいるけど。
「そんなことを面白いと思ってるの?」って声もありそうだけど、そんなことからでも楽しみを見出さないと、田舎暮らしでフラストレーションが溜まる一方ではないだろうか。環境が変わらないのが地方の生活なんだから、自分の考え方を変えて遊ばないと、することなくなっちゃうよ……。
まあでも、地方での暮らしの中に面白さを見い出せず、都会に憧れるばかりって人もいるにはいるだろう。そういう方には、地方を捨てて都会に飛び込むことをおすすめしたい。
したいが、そんな人に限って地方に縛られてるんだよね。色んなしがらみがあるものだから。田舎には。それも分かる。だけど人生一度きりなんだし、一念発起して都会に引っ越してみたらどう? 思った通り刺激は得られるはずよ。
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