経済的に自立できない兄弟姉妹の面倒を将来誰がみる? 非正規雇用の拡大で増す「きょうだいリスク」が話題に
困ったときに兄弟姉妹がいるとお互いに助け合うこともできるが、最近では兄弟の存在をかえってリスクと感じる人が増えてきているという。経済的に自立できていない兄弟がいると、いずれは自分が支えなければならなくなる。
6月6日放送の「とくダネ!」(フジテレビ系)では、そんな「きょうだいリスク」を特集していた。
月収17万円、妻子持ちの61歳兄を52歳の妹が障害年金で援助
静岡県のアパートで一人暮らしをしている52歳の女性は、現在61歳の兄を援助している。昔は母親が事業をやっていたこともあり、裕福な暮らしを送っていた。兄も母の会社を手伝っていたが、母が脳梗塞で倒れ半身不随に。兄が経営を引き継いだものの、業績が悪化し倒産した。その後、家業しか知らなかった兄は中々定職に就けなかったという。
それからは、女性が働き口を見つけ、生活費を稼ぐようになった。一時的に始めた兄への援助も総額2000万円を超える。今、女性自身が重病を患ってしまい、頼りは障害年金という状況だが、それでも兄への援助は続いているという。
兄は現在契約社員として働いており、月収は約17万円あるものの、幼い甥と姪がいるので自分の稼ぎだけでは生活ができない。女性は働きに出る兄とその妻に代わって子どもの面倒も見ている。
兄は妹に頼る理由について、「行政にも相談しようかなと思ったけど、やっぱり恥ずかしいしプライドもあるのかな」と話す。女性は兄へ援助をしているといった金銭的な問題を理由に過去に離婚を経験している。取材陣が、「もしお兄さんがいなかったら今どんな人生を歩んでいると思う?」と尋ねたところ、
「今ごろ私、普通の奥さんでいられたと思う。もしかしたら孫もいたかもしれない。でも私がいなかったら(兄は)生活ができていなかったでしょうから、それこそ一家心中されても困るし」
と気持ちを明かしていた。
「私が弟のリスクになるってことか。それなら早く死にたい」という人も
生活困窮者への支援活動を行っているNPO法人POPOLOの望月健次理事長は、「きょうだいリスク」問題の背景には非正規雇用率や生涯未婚率の増加があると指摘。「『きょうだいリスク』という問題はこれからどんどん増えていくと思います」と指摘した。
番組を見た視聴者の中にも、身に迫った問題として捉えた人が多かったようだ。ツイッターには、
「『きょうだいリスク』って言うのか…確かに『リスク』だ。私にとって、高校時代からずっと考え続けてる問題。頭の片隅に日々不安持ってる」
「きょうだいリスクこわい。弟自由すぎて26でフリーター(就職経験なし)やけどもどうする気なのほんと」
「私が弟のリスクになるってことか。それなら早く死にたい」
とリスクを背負うかもしれない側、リスクになるかもしれない側からそれぞれ感想があがっていた。
困ったときには「生活困窮者自立支援法」を頼っては
スタジオでは、作家の橋口いくよさんが、自身が未婚で妹がいるため、「自分がその迷惑をかける立場になる可能性あるっていうのをたまに考える」と語った。健康管理や貯金について考えているものの、怖くなることもあり、「この話題からなんか自分の中で逃げちゃったりする部分もあって」と切実な気持ちを語っていた。
番組では2015年4月に施行された「生活困窮者自立支援法」も紹介された。同法は、「経済的に困窮し最低限度の生活を維持できなくなる恐れがある人の自立を促進する」ためのもので、「自立に関する相談や住居の確保に必要な費用を給付」してくれるものでもある。森本さやかアナは
「こういった制度もありますので、まずやはり様々なきょうだいにも負担がかかっている場合、相談をまず、行政にしてみるっていうのは最初にやってほしいと思います」
と呼びかけていた。
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