アマゾンCEOベゾス氏は「世界最悪の経営者」か 日本のネット民は「批判される意味わからん」

ITUCの記事

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世界最大のECサイト「アマゾン・ドット・コム」に逆風が吹いている。2013年末に400ドルを超えていた株価は、14年10月20日現在で306.21ドルに落ち込み、5月にはジェフ・ベゾスCEOが「世界最悪の経営者」に選ばれてしまった。

その一方で、アマゾンが提供するサービスを賞賛する消費者は多く、年末商戦に向けた8万人の大型臨時雇用で社会に貢献しているという見方もある。ネットでは「批判される意味わからん」という声も少なくない。

1日24キロも歩かされ、外に救急車が待機

ベゾス氏を「世界最悪の経営者(The world’s worst boss)」に選んだのは、労働組合の国際組織である国際総連合(ITUC)。調査は世界大会に合わせてインターネットで行われ、ベゾス氏は22.7%の得票を集めた。

これを報じたITUCの記事は、アマゾンが労働者に強いる過酷な仕事ぶりを次のように明かしている。

・倉庫労働者は1日に約24キロメートルも歩かされる
・労働者を収容するため、施設の外には常に救急車が待機している
・労働者は腕輪を着用させられ、すべての動きが監視される
・休憩や業務スピードの規定は存在せず、いじめやハラスメントがはびこっている

こうした人員管理については、米国では暴露本が出版され、英国でもBBCの記者アダム・リトラー氏が派遣社員の倉庫労働者として潜入しルポを書いた。リトラー氏によれば、アマゾンの労働者は「増大する精神疾患リスクに直面している」のだという。

日本でも、ジャーナリストの横田増生氏が「アマゾン・ドット・コムの光と影」(情報センター出版局刊)で、 実際にアマゾンの倉庫で勤務した「潜入ルポ」を2005年に出版して話題になった。

フランスでは「書店文化」を守るため、オンライン書店が書籍を無料配送することを禁じる「反アマゾン法」を7月に施行。アマゾンは対抗措置として送料を「0.01ユーロ」に設定し、ほぼ無料配送のサービスを継続している。

そんな中、12年間アマゾンに勤めたトーマス・スクータックCFOが「家族と過ごす時間を増やしたい」との理由で、15年6月の退職を発表した。これについて産経新聞は、表向きの理由とは別に「会社が急成長するにつれ社内外での軋轢も増え、疲れも見え始めていた」と報じている。

日本のネット民には「最高の経営者」?

こうした世界的なアマゾン批判を、ブラック企業問題に敏感な日本のネット民はどう見ているのか。ネットを検索してみると、意外と醒めた目で見た意見が多く、アマゾンを擁護するものも少なくない。

「(アマゾンの労働者は)人とも会わない、重いモノもない倉庫業だろ。ストレスの軽作業を気に入ってる人たちだろ」
「交代要員や救急車を待機させてくれてるなんて、なんて素晴らしい会社なんや…(日本なら)『お前が休んだら代わりはいねーんだぞ!』」

労働組合が批判を強めると、アマゾンは従業員を減らして機械化を進めることになるので、「単純労働しかできない人は不要になるだろ」と、労働者にはかえって不利な状況を招くのではないかと分析する人もいる。

確かに米アマゾンは、消費者の支持を背景に、現状では多くの雇用を生み出している。10月16日には年末商戦に向けて、8万人の臨時雇用を実施すると発表。米国内物流センター向けの採用で、前年よりも14%多い。さらにそのうち1万人以上を正社員に登用する見込みだという。

これだけの雇用を確保できるのも、ベゾス氏が新分野に巨額の投資を行い、イノベーションを創出しているからとも言える。そのために財務状況が一時的に悪化し、株価に影響を与えている可能性もあるが、それも会社は織り込み済みである可能性もある。

そんなベゾス氏が「最悪の経営者」呼ばわりされていることについて、ネットには「底辺に職を与えつつ、消費者に安く提供。批判される意味がまじでわからん」という声も。日本のネット民にとっては「最高の経営者」という側面もあるのかもしれない。

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