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「生まれ変わっても専業主婦がいいですか?」に違和感――専業主婦を「選べた」時代は終わっている

身近なご夫婦で、共働きではない人を見つけるほうが難しくなってきた昨今です。厚生労働省の資料でも、1980年頃には65%ほどだった専業主婦世帯は2015年には38%ほどに減少し、いま、割合は完全に逆転しています。(文:篠原みつき)

これを踏まえた上で、先日「発言小町」に「生まれ変わっても専業主婦になりたいですか?」という質問がありました。投稿者は30歳のパート主婦で、50歳以上の専業主婦の方へ聞いています。

「当時は主婦が働くという選択肢がなかったので、あまり深く考えずに専業主婦になった方も多いと思うのですが(うちの母がそうです)生まれかわって今の時代に結婚したら、やっぱり、働いてみたいものでしょうか?」

「働くという選択肢がなかった」のではなく「働く必要がなかった」

専業主婦がいいですか?

専業主婦がいいですか?

ちなみに、投稿者の母は結婚を機にやりたいことを諦めたので、「今の時代ならバリバリ働きたい」そうです。「選択肢があるだけ今は幸せなんだなぁ」と思いを述べた上で、他の人の意見も募っていました。

これに対して、主に50代から「選択肢はありましたけど?」と投稿者の前提自体に違和感をぶつける人が目立ちました。今の50代が働きだしたころ、1985年に「男女雇用機会均等法」が制定され、バリバリ働いている人も大勢いるという指摘です。90年代はバブル絶頂期もあり、こう言い放つ人も。

「わたしが結婚した30年前は、『働くという選択肢がなかった』のではなく、『働く必要がなかった』のです」

さらに、「むしろ今のほうが選択肢は無いのでは?」という声が続々と上がっていました。

「今は若い男性に一家を養えるだけの経済力がなく、共働きでないとやっていけないそうですね。(中略)今のほうがよほど選択肢がないように思います」

それを言われると辛いですね…。非正規雇用が約4割を占めるいま、男性の雇用も不安定で給料がぐんぐん上がることも期待できません。将来への不安からも、「好きで働く・働かない」を決められない状況になりました。

レスの中には「専業主婦がいい」とする声も多く寄せられましたが、やはり「夫の稼ぎがいいのなら」「経済的に余裕があれば」という条件つきです。

「専業主婦であったことに後悔はありません。お金に関して、あまり苦労をしなかったことと子育てや親の介護時に時間が取れたことは有り難かったです」

など、ゆとりのあった人生を振り返る様は、金銭的な余裕を感じ羨ましくなります。

「男に生まれて警察官になりたい」「結婚したくない」という人も

一方で、「次はバリバリ働きたい」とする声も専業主婦希望と同じくらいありました。ある60代の女性は、「寿退社当たり前でした。女性には学問は必要ないという親もよく居りました」と、ため息まじり。超大手新聞社勤務だったのに結婚で退社し「いま思うと、ホントにもったいない」と後悔する人や、こんな声もありました。

「専業主婦はもういい。次、生まれ変わったらできれば男に生まれて警察官になりたいですね」
「生まれ変わったら学生時代の勉強をずーっと続けて、結婚もしないで、ひたすら学問の道に進みたいです。たとえ、どこで野垂れ死んでも」

女性は20代で結婚するのが当たり前だった時代、やりたいことがあった人には人生をやり直したい気持ちもあるようです。「専業主婦は家政婦さん。それは事実だと思ってました」と冷えびえとしたコメントを書く人も。

均等法の制定によって、女性を深夜や休日に働かせてはならないという規制が解除され、日本は「男も女も残業させ放題」の国になりました。当時バリバリ働いた女性は、男性並みの長時間労働を求められ、結婚や子どもを諦めた人も多かったはずです。

女の子が将来の夢を「大工さん」と書ける時代

「今は昔に比べたら、本当に主婦が仕事をしやすい環境になってきました」という意見もあったように、少しずつですがワークライフバランスを考える動きもあり、「家事育児や休息する時間を与えない労働環境はよくない」と堂々と批判できるようにもなりました。

スレッドの中には、かつては文集に「将来の夢はお嫁さん」としか書けなかったと嘆く人もいました。いまは、小学5年生の女の子が、将来の夢に「大工さん」と書けるようになっています(筆者の子どもの同級生です)。確かに、働かないという選択肢は乏しくなってきたかもしれませんが、まったくの暗闇というわけでもないことを申し添えたいと思います。

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