楽天デーブ監督が「ブラック」すぎる件 秋季キャンプは「無休」、年長者には「直立不動のあいさつ」
プロ野球・楽天イーグルスの監督に就任した「デーブ」こと大久保博元氏が、連日怪気炎を上げている。11月2日から始まった18日間の秋季キャンプ期間(岡山・倉敷)を「無休」とし、完全な練習漬けにすることを明かしたのだ。
また、若手選手には年長者に対し「直立不動のあいさつ」をするよう求めるなど、アナクロとも思える軍隊調の規律を徹底する。デーブ監督の就任には、もともとファンから反対意見が根強かったが、期待を違わぬ横暴ぶりに、ネットでは「デーブがブラック企業の社長に見える」という声もあがっている。
18日間、休みなし。「休日で緊張の糸が切れるから」
デーブ監督がキャンプを無休にした理由について、スポーツ各紙はこう報じている。
「休日で緊張の糸が切れ、熱を出した選手がいたから」(サンスポ)
「1日休みにしてしまうと、かえってケガにつながることもある」(デイリー)
例年の秋季キャンプでは3~5日に1日は休みを設けていたが、球団公式ホームページには「練習」の文字が18日間並び、「休日」「OFF」の文字はなかった。これにはファンからも、選手を気遣うコメントが相次いでいる。
「選手が一生体を崩すという発想はないんだな。選手の身は自分の意志で守るしかない」
「あまりにも酷使し過ぎるよ。ブラック企業並みかよ」
デーブ監督は2軍監督だった今年2月には、ノック中に柿沢貴裕外野手が脱水症状で倒れ、心臓マッサージを受け入院。あわや大惨事だったが、その反省は見えない。秋季キャンプでも「守備が課題なら1000本ノックにトライしてもいい」などと発言しており、悪びれる様子はまったくない。
選手には自らの課題を紙に書き、目につく場所に貼らせる。いい年をしたプロの選手にさせるには過剰管理にも思えるが、これにもネットには「あ~、この思考、完全にブラック企業の経営者ですわ…。こういうのやるんだよなぁブラックの経営者って」「完全にブラック企業のやることじゃないですか…ヤダー」と溜息が漏れている。
監督代行で負け越し。ファンから「就任反対署名」も
さらにデーブ監督は、チームに軍隊調の規律を導入しようとしている。年長者に対しては、「必ず立ち止まり、脱帽して頭を下げ、きちんと発声」してあいさつをさせるよう徹底したが、ネット上にはこんな皮肉なコメントも並ぶ。
「年上の観客が目に入ったら、その人に対してもしなきゃいけない」
「レフトとセンターがお見合いした時に、センターが年上だとレフトは立ち止まって帽子取って挨拶して捕球にいくの?」
また、全選手をポジション別に「順位付け」をし、「どうすれば、誰を抜けば1軍に行けるのか」を明確にする。レギュラー選手の危機感をあおるというが、ファンからの不安の声は絶えない。
「打順やポジションによって求められるものが違うのに数値化・順位化なんて無理だろ」
「監督やコーチの主観になるんだから、好き嫌いも出てくるだろうし。選手は気に入られようと戦うべき相手を見ずにコーチの顔色見ながらプレーする事になると思う」
そもそもデーブ監督の手腕を不安視する向きは多い。2014年シーズン、星野仙一監督が病気療養中に「監督代行」として采配をふるったが、その間の成績が8勝9敗1分けと不調だったうえに、選手を大事にしない横暴な態度がファンの反感を買った。
星野氏の後任にデーブ氏の名前があがった際には、オンライン署名サイト「Change.org」に「大久保博元氏の一軍監督就任反対」というキャンペーンが張られた。7167人の署名は楽天の三木谷会長兼社長や立花球団社長に届けられたが、方針は変わらなかった。
「優勝して、恩返し」できるのか
10月14日に開催されたデーブ監督の就任会見も、異例づくしだった。新聞各社からの個別質問も受け付けられず、同席した球団社長との握手もなければ、ツーショット写真の撮影もなし。会見は10分で打ち切られた。
記者からネガティブな質問が飛ぶのを嫌ったのだろうか。スポーツ各紙はこの会見を「お祝いムードなし」「異例のドタバタ就任」などと揶揄した報じ方をしている。
これだけ周囲の反対を押し切って就任したのだから、最初はおとなしくしているという選択肢もあったが、デーブ氏は「監督の座に就いてしまえば、こっちのもの」と言わんばかりに、独自方針を次々と打ち出している。
デーブ監督は就任会見で、こう話している。
「ファンの皆さまは不安があったり、色々な想いがあると思いますが、是非優勝して、恩返しをして、たくさんの勝ちをみなさんと共に掴んで、ファンの皆さまに最後に笑っていただきたい、と思っています」
キャンプの酷使がたたって、シーズン中に怪我人続出ということになれば、責任を問われることは確実だ。楽天イーグルスはかつて、3年契約だった田尾監督や、2年契約だったブラウン監督を、ともに1年で打ち切った歴史もある。成績を残せなければ非情な選択をされる球団で、1年契約のデーブ監督がどれだけの結果を出せるだろうか。
なお、11月4日夜に秋季キャンプのスケジュールが更新され、5日の予定が「練習」から「OFF」に切り替わっている。どうやら選手は休みを貰えるようになったようだ。
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