社員と一緒に有休取得計画を作る役職 「チーフ・スマイル・オフィサー」設置で休みの質も向上
働き方改革が叫ばれている昨今だが、「有給休暇はあるのに取りにくい」という人も少なくはないだろう。
化粧品の企画販売を行うメディプラスでは、社員の休み方をアドバイスする「CSO」(チーフ・スマイル・オフィサー)という役職を2015年から設置している。
近年、欧米の企業を中心に、社員の幸福度を調査して職場環境改善に役立てる役職「CHO」(チーフ・ハピネス・オフィサー)が広がっているが、同社の広報担当者は役職の名称を「CSO」とした理由について、次のように語った。
「社員を”幸せ”にするというのは大仰だけど”笑顔”にならできるのでは、と思って『スマイル』としました」
取得ペース配分表を制作、「そろそろ休みの準備を」というメールが届く
CSOは、生涯の過ごし方を人生の最後からさかのぼって考え、計画を立てる”バックキャスティング”にもとづきアドバイスを行う。面談を通じて、社員の人生設計のイメージに対し「そのための今になっているか」を一緒に考えるのも仕事だ。
産休と育休を経て職場に復帰した経験のある岡元朋子副社長がCSOを務める。CSOの仕事の一つが「休みのペース化」だ。2016年から社員がCSOとともに1年間の理想の働き方や休み方を考えて「有給ペース配分表」を作成してきた。
今年3月からは旅行代理店と連携し、休暇予定日の前には「休みの準備をする時期です」という内容のメールで届くようになった。広報担当者は、
「『みんなが働いているから私も働かなきゃ』という気持ちや、『奉社精神』から取得を後回しにする人も多いはず。しかし今後は取れるタイミングで取って、自分のために使ってほしいです」
と話す。社員も実際にメールが送られてきたことで「そろそろ長期休暇に入るから仕事の整理をしなくては」という意識するようになったという。
有休をより「大切なこと」に使うように変化
ただ、自分や家族が病気なるなど万が一の場合に備えて有休を取っておく、と考えている人もいるだろう。そこで同社では、「有給ペース配分表」作成にあたり、「自分や家族のために使う休み」と「病気やケガの治療・看病などのための休み」の配分もCSOとともに考えている。また、有休とは別に子どもの看病や体調不良時などに使える休みも4日ほど用意した。
CSOを設置して2年、社員の休み方も変化してきた。海外に一人旅をしたり、家族と一緒に出かけたりと”今、大切なこと”に有休の時間を使う人が増えたほか、これまで休めなかった管理職の取得率も上がったという。プレスリリースでは、
「今後は『有給ペース配分表』を活用することで、社員それぞれが”大切にしていること”に気づき、迷いや失敗に直面したときに自分自身で自分をコントロールできるようになることを目指しています」
と宣言している。