実態はこうだ! ワタミで当然のように行われていた「労働時間操作」

ワタミの過労自殺裁判で、原告(遺族)側の主張に「レジを締める従業員が、一括して退勤時間を打刻していた」とありました。従業員の労働時間はきちんと管理されておらず、店長などによる労働時間操作があったと指摘しているのです。

対してワタミ側は、店舗では「自分で退勤ボタンを押し、分単位で打ち込まれていた」と主張し、労働時間操作はなかったとしています。しかし私の経験では、操作は当然のように行われていました。今回は、その実態を書いてみます。(文:ナイン)

売り上げが悪ければ「過少申告」。よければ…

ワタミの勤怠管理はタイムカードで行っており、その方法は店舗備え付けパソコンの「勤怠管理システム」に、自分自身で打刻するものでした。操作は簡単で、社員だけではなくアルバイトも行うことができました。

ただし、その打刻時間は、社員であれば後から修正することができました。閉店後の作業として、勤怠打刻を忘れてしまった従業員の代わりに打刻してあげるのです。

しかし、これは表向きのケース。裏のケースは「ノーコンの回避」でした。これまでも何度か書いているように、ノーコンとは「店舗の売上が悪く、人件費が利益を圧迫している場合に、労働時間の過少申告を強要する」ワタミの制度です。

つまりノーコンが発覚し、人件費が計画よりオーバーしている場合は、社員の勤怠時間を操作し、実際には10時間働いている人を、8時間しか働いていないと過少申告するのです。賃金の実質的なカットですね。

しかし、このような削減ばかりしていると、社員の不満はたまってしまいます。そこで売り上げが比較的よい日には「過剰申告」をします。実際には8時間しか働いていない人を、10時間働いたと申告するのです。要するに賃金の水増し、穴埋めです。

これは会社ぐるみで、当たり前のように行われておりました。ある店長は、課長から「普段お前の店は売り上げが悪いんだから(つまり普段は過少申告しているのだから)、売り上げのいい今日くらいは時間を多く付けろよ」と指示を受けていたほどです。

「修正履歴」のデータは残っているはずだ

賃金カットだけでなく、水増しで帳尻合わせをしてくれるんだから、いい会社だと思われるかもしれません。しかしこの方法を続けていると、本当は何時間働いていたのか、月単位や年単位で見ると、よく分からなくなってしまうのが難点です。

なお、この労働時間操作は、私が入社したころは社員のみが対象でした。しかし昔は事情が違っていたようで、勤続10年ほどのアルバイトの男性は「俺が入ったばかりの頃は、アルバイトでもよく時間削られてたよ」と言っていました。

「店長に理由聞いたら、『しょうがないでしょ。売れてねぇんだから』ってさ。だからもう、俺はバイトでいいやって思ったよ」

そういえば裁判で、遺族側はこの「勤怠管理システム」のデータの提出を求めているようです。システムは修正を行うと「修正履歴」が残るしくみになっていますし、閉店時に修正履歴をプリントアウトして保存しているはずです。

それを見れば、労働時間管理が適正に行われていたか一目瞭然です。しかしワタミ側は、提出を拒んでいるのか、提出が遅れているのかわかりませんが、いずれにせよ修正データは未提出のようです。

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