プレミアムフライデー、中小企業で全く普及せず もともと余裕がなければ実施困難
開始から1年経ったプレミアムフライデーだが、一部の大手企業でしか実施できていないようだ。インテージは2月20日、一都三県に住む20~59歳の男女有職者3251人を対象に実施した、プレ金に関するアンケート調査の結果を発表した。
プレ金を「知っている(内容まで知っている+聞いたことはある)」人は97.0%に達している。昨年2月の69.7%を上回っており、この1年で認知度が上がったことがわかる。一方、勤務先が「奨励・実施している」人は11%に留まっており、昨年の10.5%からさほど増えていない。
「大手でもサービス業は、稼ぎ時なので早く帰れるわけがありません」
勤務先の規模別に見ると、100人未満の「奨励・実施」率はわずか2.8%だが、100~499人では7.2%、500~999人では8.9%、1000人以上では20.6%となっている。大企業と比較して中小企業では全然実施されていない。
「プレ金で早く帰ることができたか」を聞くと、「1回以上早帰りをした」人は昨年比4.5ポイント増の8.3%の人に留まった。企業規模別では、100人未満4.5%、100~499人で5.9%、500~999人で4.8%、1000人以上で14.1%とこちらも企業規模が大きくなるほど割合が増えている。
中小企業では残念ながらプレ金がほとんど普及していないことがわかるが、こうした現状について、経済評論家の平野和之さんは、
「従業員を大切にしている一部の企業ならともかく、普通の中小企業では実施が難しいでしょう。余裕がありませんからね。たとえ大手でもサービス業は、稼ぎ時なので早く帰れるわけがありません。小売業のような『社畜の文化』が根付いた業種でも難しいでしょう」
と指摘する。逆に導入しやすい企業や業種は製造業や公務員だという。
「製造業の場合は、納品日を決めていますので、比較的やりやすいと思います。特に社歴が長かったり、社員を大切にしているような企業では実施しやすいと思います。公務員でも人が余っているような部署なら導入できるでしょう」
「どこも3時に帰れるほど人が居ない」
ネットでも「中小企業が99パーのこの国でプレミアムフライデーみたいな文化が浸透する訳ない」「日本は事業登録の比率でみたら99%が中小企業なわけで。どこも3時に帰れるほど人が居ないからね」といった声が散見される。余裕のない中小企業が多い状況で、プレ金が普及するのはかなり難しそうだ。