警視庁の迷惑防止条例改正案が「東京都版の共謀罪」と物議 解釈次第で報道の自由も制限可能か | キャリコネニュース - Page 2
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警視庁の迷惑防止条例改正案が「東京都版の共謀罪」と物議 解釈次第で報道の自由も制限可能か

画像は東京都庁。改正案が成立すれば、全国に影響する可能性があります

画像は東京都庁。改正案が成立すれば、全国に影響する可能性があります

自由法曹団東京支部のメンバー、船尾遼弁護士は「なぜ今このタイミングで改正案を出したのか、妥当性が見当たらない。追加されようとしている事項は、現行のストーカー規制法で取り締まり可能。条例が変更されれば、自由な議論が制限されかねない」と危機感を募らせる。

一番の問題は、「『名誉を害する事項を告げること』を追加し、刑法上の名誉毀損にあたらない行為も処罰可能にしようとしていること」だと指摘する。

刑法では、客観的に社会的な名誉を下げるような事柄を、不特定多数に向けて言うことが名誉毀損罪の要件になる。しかし条例の改正案では「相手がむっとするようなレベル、たとえば『お前はバカだ』などのレベルであっても、解釈次第で適用が可能」になるという。

そうなると、国会前や路上で議員を批判したり、労働組合が社前集会で会社の批判をしたり、マンション建設に反対する住民がチラシを撒いたり、消費者が企業に対して不買運動するといったことも規制対象になりかねない。行為の形に関する制限もないので、SNSでの発信でさえも規制対象になる可能性があるという。

「刑法上の名誉棄損罪は告訴がなければ処罰できませんが、改正案は告訴がなくとも、捜査機関の判断により逮捕・起訴し処罰できてしまいます。使い方次第でどうにでもなる条例を出すのはどうなんだ、というのが一番大きな疑問点です」

3月末には成立する見通し「反対する人はSNSで発信してほしい」

さらに、「監視を告げること」という追加項目に関しても、解釈によっては「記者などが『あなたを張っている、私はあきらめません』と伝えることがあたる可能性がある」と懸念する。こうなれば、報道の自由にも影響しかねない。

自由法曹団東京支部は、「改正案は、憲法で保障された労働組合の団体行動権、国民の言論表現の自由、知る権利、報道の自由を侵害するものであり、また憲法94条に反する」として都に意見書を出しているが、改正案は今後、19日の警察・消防委員会で審議された後、22日に採決、月末の本会議で成立する見通しだ。船尾弁護士は、

「反対する人はSNSで発信したり、消防委員の元に要請文を送るなどしてほしい」

と話していた。

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