石田衣良「子どものうちから残酷なもの、やらしいものを与えた方がいい」 残酷な昔話を読み聞かせるべきか問題
作家の石田衣良さんが3月23日放送の「5時に夢中!」(TOKYO MX)で子どもと本の関わり方について言及した。
番組では、タレントの小倉優子さんがバラエティ番組で、昔話『桃太郎』について「桃太郎は鬼を成敗しないで話し合ってほしい」と発言したことが取り上げられた。ネットでは「昔話や童話は意外と残酷な話が多い」と子どもに読み聞かせるべきか否かが議論になっている。
これに対して石田さんは「お母さんの気持ちもわかりますけど」と前置きした上で、
「残酷なもの、厳しいもの、やらしいものとかは子どものうちからちょっとずつ与えた方がいいと思います」
と自身の意見を述べた。
残酷な話は「ワクチンと一緒。きれいなものだけでまとめる方が怖い」
石田さんは、「大人になっていきなりこの世界を見せるより、そっちの方がいいですよ。ワクチンの注射と一緒です」といい、「きれいなものだけでまとめようとすると逆に怖い」という。
確かに子どもは、学生時代まで教師・保護者の庇護のもと生きており、多くは「清く正しく美しく」あることが良いことだと教育されている。しかし社会ではそれが全てではないのが現実だ。
また、ミッツ・マングローブさんは「(現実の話ではなく)ファンタジーって部分をちゃんと育てないと」とコメントした。
『舌切りすずめ』でおばあさんはすずめの舌をハサミで切ったり、『かちかち山』ではたぬきがおばあさんを撲殺したり、うさぎがたぬきに大やけどを負わせたりする。しかしこれらは当然ながら”作り話”で、実際にあったものではない。
フィクションと現実の違いを認識した上で、だからこそ「自分も悪いことをすれば酷い仕打ちを受けるのでは」という想像力が働いていく。そのためにも”残酷なもの”などは必要、ということだろうか。
また番組ではMCの原田龍二さんが「性教育もそうですよね。意外と大人って避けがちじゃないですか」とコメント。石田さんも「隠してしまいますからね」と同意した。
小倉さんのように「子どもに残酷なものを触れさせたくない」いう気持ちもわかるが、行き過ぎた配慮が”無菌室”状態を作り上げている感も否めない。事前に”ワクチン”を打っておく方が、子どものためになるかもしれない。