日本における児童労働の実態 JKビジネスは買春の温床、詐欺の受け子や出し子に使われる児童も
「児童労働」というと発展途上国の子どもが農作業などを行っているイメージが強い。しかし日本にも児童労働に従事している子どもはいる。
NPO法人「ACE(エース)」は6月18日、参議院議員会館で「日本における児童労働調査」の中間報告を行った。日本の場合、「JKリフレ」で買春の被害にあったり、詐欺の現場で現金を引き出す”出し子”として犯罪の片棒を担がされたりする児童が後を絶たない。
「JKビジネスに携わった子どもは『補導』の対象でしかない。ケアは不十分」
日本では、児童労働者の数が公表されておらず、実数を把握するのが難しい。しかし未成年の少なくとも6235人(2015年)は、児童ポルノ禁止法や青少年保護育成条例に違反した犯罪の被害者となっている。
また国際労働機関(ILO)は、高所得国においても5~17歳の1.2%が児童労働に従事していると推計している。この推計を日本に当てはめると、5~17歳の子供人口約1450万人のうち約17万人が児童労働に従事していることになる。
特に深刻なのが売春の強要や性産業における搾取の問題だ。2016年には、30代の男性が複数の女性をマンションに住まわせ、売春をさせるという事件が起きている。被害女性の中には、17歳や19歳の少女が含まれていた。
いわゆる”JKビジネス”も児童ポルノや児童買春の温床となっている。2017年には、台東区にある「JKお散歩」店の店長(19歳)が、高校2年生の少女に20代の男性客と性交させたとして逮捕されている。報告を取りまとめたエースの太田まさこさんは、こう指摘している。
「JKビジネスに携わった子どもは『補導』の対象でしかなく、保護とケアは不十分だ。一方、こうした性産業の利用者への取り締まりは遅れている」
「家庭や学校、地域に居場所がない子どもが被害にあいやすい」
子どもが犯罪の片棒を担がされることもある。海外では麻薬の売買に子どもが使われることが少なくないが、日本では詐欺の”出し子”や”受け子”として利用されることがある。
建設業でも子どもが危険な仕事を担わされている。2012年には栃木県足利市の中学3年生(14歳)の男子生徒が、解体工事現場で崩れた壁の下敷きになって死亡する事故が起きた。
こうした児童労働は、貧困や虐待、不登校や家出、非行など様々な要因が絡み合って生じるが、被害にあう子どもたちには自分の居場所がないという共通の課題がある。エースの岩附由香代表は、こう話している。
「性産業で被害に合う子どもや”出し子”として利用される子どもがいる。被害の実態は異なるが、こうした子どもたちは家庭環境に問題を抱えている。そこが共通の課題だ。家庭や学校、地域に居場所がない子どもが被害にあいやすい」
エースは今年8月にも「児童労働調査」の最終版を発表する予定だ。今後も政策提言や児童・経営者への啓発活動を行っていくという。