女性が清々しく生きるための命題を突き付けられる漫画『ダルちゃん』 生きづらさを抱える人が、本来の自分をどう取り戻すのか | キャリコネニュース - Page 2
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女性が清々しく生きるための命題を突き付けられる漫画『ダルちゃん』 生きづらさを抱える人が、本来の自分をどう取り戻すのか

本作は、資生堂の企業文化誌「花椿」のWeb版で2017年10月から連載され、当初から「これは私だ」と共感する人が続出。主に20代30代の女性からの絶大な支持を集め、単行本の発行部数はすでに10万部を突破しています。SNSでは「今年読んだ一番の作品」に挙げる人も目立ちました。

生まれつき”普通と違う”と家族に疎まれて育ったダルちゃんは、小学校に入ってますます大変な状況に。何しろダルダル星人なので、キチンと座っていることさえままならない。なのに先生は怒るし同級生からはバカ扱い。やがてダルちゃんは、周囲の女子を観察し、必死に「普通の女の子」に擬態する技を覚えていきます。

社会人になってからは派遣社員としてしっかり仕事をこなし、「役割がある」生活に満足するダルちゃん。しかし、職場の飲み会はどうにも苦手で、どうしていいか分からなくなります。ニコニコ笑って相づちを打っていれば、男性社員が喜んでくれると気づいた彼女は、バカにされても妙に慣れ慣れしくされても、ニコニコ調子を合わせてしまいます。

これを見ていた職場の女性社員サトウさんが、ダルちゃんに厳しく指摘するセリフが、ずしんときます。

「あなたの尊厳を踏みにじる奴らに あんな風に笑いかけちゃダメだよ」
「簡単につけこまれて 人生を支配されちゃうよ」

いままで何とか「普通に」生きることを至上命題として生きてきたダルちゃんにとって、それは厳しく胸に刺さる言葉でした。

頑張って身なりを整えるところや、飲み会の描写に「わかるわかる」と共感する人は多いでしょう。おしゃれや飲み会に限らず、本当はやりたくないのに、「普通」であるために頑張っている。それが無意識でできるレベルになり、本当は自分が何をしたいのか、何を考えているのかもわからなくなってしまう。そんな心理がダルちゃんによって分かりやすく提示され、胸が痛くなります。

「普通の人なんて この世に一人も存在しない」自分を愛して清々しく生きていくために

ダルちゃんは、もしかすると発達障害かなと思われる表現もありますが、そうした限定は意味がありません。普通と違うと非難され、またはそう思われないよう必死になって、生きづらさを抱えている人は多いものです。

親や恋人、夫や上司の意志ばかり尊重し「空気を読んで」生きている女性も。ダルちゃんによって「自分をどう取り戻すのか」といった命題を突き付けられ、物語から目が離せなくなります。

後半は、本当の自分を表現するすべを見つけ、さらには「普通の幸せ」を掴みかけるダルちゃんですが、話はそこで終わりません。どんな人にも人生の岐路があるように、ダルちゃんは重い決断を迫られます。

これまた胸に刺さるのは、「普通じゃないから幸せになれない」と自分を追い詰めるダルちゃんに、ある人が言うこんなセリフです。

「普通の人なんて この世に一人もいないんだよ」
「存在しないまぼろしを 幸福の鍵だなんて思ってはいけないよ」

20代30代の、渦中にある女性の中には、ぶわっと涙があふれる人も多いはず。結婚か、仕事か、それ以上の大事な何かを選ぶべきか、結婚すれば仕事と家庭の両立、出産のタイミングなど、様々な岐路に立たされる女性たち。自分が何を選べば満足し幸せになれるのか、深く考えさせられる時期にこの漫画に出会うインパクトは、とても大きいことでしょう。

自分が自分を認めていれば、私たちは幸せに生きていける、というメッセージが強く込められた、希望と癒しの物語。新しい年に向かって、心機一転清々しく生きていきたい女性たちに、届いて欲しい作品です。

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