「不登校でゲームばかり」親の心配に専門家のアドバイス 「ゲームにはプラスの面がたくさんある」が注目集める
小・中学生の不登校児童の数は、文科省の2018年の発表によれば14万4031人。いまや珍しいことではありませんが、親の心配は尽きません。教育評論家の尾木直樹氏が出演する「ウワサの保護者会」(NHK Eテレ)、2月23日の放送は不登校がテーマでした。
「不登校の子どもがゲームばかりしている」と不安を訴える親に対して、専門家が「ゲームはプラスの面がたくさん含まれている」といった解説をすると、ネット上ではそれを紹介したツイートが称賛の意味で多数リツイートされていました。(文:篠原みつき)
精神科医「ゲームを通じたコミュニケーションによって補っている」
小・中学校の子どもが不登校だという保護者たちは、「朝からゲーム三昧の日々を送っていて、ゲーム以外にほとんど興味を示さないですね」「全力で、命がけでゲームしてますね。思い通り行かないと他の兄弟に当たることも。家族の目を盗んで夜中にゲームしています」など、不安をくちぐちに語りました。
この悩みについて、精神科医の高岡健さん(岐阜県立希望が丘子ども医療福祉センター児童精神科部長)は、
「オンラインゲームはチャット機能が付いていますので、共通の趣味を通じたやり取りが成立しています」
「ゲームはプラスの面がたくさん含まれている」
など、ゲームについてのプラス面を説きアドバイスしています。昼も夜も寝ない、食事も一食もとらないでゲームをしているなら、本格的なゲーム依存症として別の対応が必要になりますが、そうでない限り大丈夫とのこと。
「むしろゲームを通じたコミュニケーションによって、補っている部分が多いという認識が必要です」
不登校の子にありがちな昼夜逆転も、その人にとってエネルギーをためている状態なので、「安心なこと」だそうです。
「不登校は小さなひきこもり。『自分との対話』をしている時間です。自分との対話ができなかった人たちが、後に大きなひきこもりで挽回しようとします」
高岡先生は、安心で安全な環境を家族が提供することの大切さを強調していました。
筆者も中1の子どもの友人2人が不登校で、昼夜逆転でゲームをしていると聞くので心配していましたが、周囲は余計なことを言わずにそっとしておくほうがいいようです。
不登校経験者のおよそ8割、5年後に進学や就職
不登校では親も子どもも「学校に行かないで人生どうなってしまうのか」と重い重圧に苦しんでしまいますが、ほとんどの人が進学や就職をしているという調査結果もあります。「中学3年生のときに不登校だった子どもが5年後どうしているか」を、文部科学省が追跡調査(2016年発表)したところ、およそ82パーセントが進学・就職をしているのです。
番組では、不登校を経験し、現在は社会人として生き生きと生活している人たちも紹介されました。小学校のほとんどが不登校だった女性は、学校の勉強はせず家庭を中心に学ぶ「ホームエデュケーション」のネットワークに入り、子ども時代を楽しく育ちました。現在は短大を卒業し、会社員として働いています。
尾木ママは、「こういったケースは決して珍しくない、教師としての経験からも、全然大丈夫だと断言したいですね」と保護者たちを励まします。学校は我慢の世界で、それに耐えられないときもあるが、
「今が充実していれば必ず未来は切り開ける。ぜひ、安心して今を大事にしてやってほしいと思いますね」
と、最後に優しく語りかけていました。