産休育休で7年休業、NHK青山アナへの批判は「ブラック企業社会への過剰適応」 フローレンス駒崎氏

育児休業中に給与は支払われない。様々な条件を満たせば、雇用保険から「育児休業給付金」が給付される。給付金の額も産後半年は給与の約7割、半年経過後は5割と、決して多くはない。社会保険料は通常時、会社と労働者で折半して払っているが、育休中は会社負担分も労働者負担分も発生しない。

「会社がお金を払ったり費用を負担したりすることはありません。だから『もらい逃げ』なんていうのは制度を理解していない、的外れな指摘です。育児休業を取るのは労働者の権利です。4回取っても40回取っても良い。『育休取るな』と言う人は、少なくとも労働者の味方ではないですね。むしろ、4人も産んで少子化の食い止めに大きく貢献しているのに、何を言ってるんだって話です」

こうした「育休バッシング」が起こる背景として駒崎さんは、「労働者がブラック企業社会に過剰最適化している現状」があると指摘する。

「労働者が会社に成り代わって『迷惑だ』などと言っている。労働者の権利を剥奪するようなブラック企業の論理を、労働者たちが代弁している構造になっています」

人手不足の職場で育休取得者が発生し、それでも上から『頑張れ』と言われ辛い目に遭っている人達が「育休は迷惑だ」と思ってしまうのは「同情の余地がある」とも言う。しかしこれは「経営者の能力不足が招いている不幸」と、経営者の責任についても言及した。

「育休で人が減ることは数か月前から分かること。その間に契約社員でも派遣でも、代替する人を揃えれば良いだけの話。人が欠けているのに同じ成果を上げろというのは『ダメ経営者』です」

バッシング防ぐためには「労働法の教育」と「男性の育休取得を企業に義務化」

過剰な産休・育休批判を防ぐために、駒崎さんは、学校教育の場で労働基準法の授業をして世の中の理解を深めることと、男性の育児休業取得義務化を行うべきだと主張する。

「労働法の教育を高校生くらいからしたほうが良いと思います。『人手不足なんだから、辞めるなら代わりの人を探してこい』などというブラックバイトに遭ったときなどにも、知識があれば、従わなくて良いと分かります。基礎的なことを教えることで、産休・育休に対する誤解もかなり減ると思います」

男性の育児休業取得は、個人ではなく企業に対して義務化すべきだと言う。現在は申し出に応じて会社が許可する形だが、「企業は、申し出をしにくい雰囲気を作ることで育休取得を阻んでいる」と指摘。「義務化することで、産後の妻の大変さ、一人では子育てできないことを理解し、父親になるトレーニングにもなる」と説明した。

フランスの男性は妻の産後2週間、男性の産休にあたる休暇がある。父親休暇中は8割の給与保証があり、雇用主が拒むことはできず、正しく運用しないと雇用主への罰則もある。その間は仕事を休み、子育てに参加するよう求められるのだ。EU全体でも、同様の制度を導入しようという方向に政策の舵が切られつつあるという。