ワーママに「100%理想の仕事」はない! 理想よりも、早めに積んだ経験が後の自分を助けてくれる
子育てママが再就職・復職するにあたり重視していることはなんでしょうか。ママハピ調べでは1位が「勤務時間」、2位が「柔軟に休みがとれるか」、3位が「勤務地」でした。
勤務時間は、子どもの帰宅や夕飯づくりに間に合う10時から15時、または16時が人気傾向です。子どもの体調不良や行事など、急な休みに柔軟に対応してもらえる制度や文化があるかは気になるところです。そして勤務地も、移動時間が少ない近場で働きたいと希望する人は多くなっています。
延長保育や官民の託児インフラが整備されてきたら傾向も変わるかもしれませんが、子どもが小さいうちは時短で働きたいという希望はよく聞きます。
「ここは譲れない、ここは妥協できる」という自分の基準をできる限り明確に
ここで大事なのは、「全ての希望を叶える100%の仕事はない」ということ。子育て中以外はもちろん、何かと自分以外の都合を考慮すべきことが多い子育て中も、「何を取り何を譲歩するか」の優先順位付けがとても大事です。
例えば、あなたがシマウマだったら……動物園に飼われているシマウマと、サバンナに暮らすシマウマ、どちらがハッピーでしょうか?
前者は命の危険はなく、頑張らなくてもごはんがもらえる。でも自由はなく狭くて人に見られるストレスもある。後者はのびのび広い空間で自由に過ごせるけれども、常に食べられてしまうかもしれないし何日もご飯が見つからないかもしれない。
企業でもAさんにとって天国と思う企業が、Bさんにとってはブラック企業というケースはあります。仕事に求めるものも、同じ条件をどのように捉えるかも人それぞれです。
だからこそ、「ここは譲れない!!逆にこれなら妥協できる」という自分の基準を、できる限り明確にすることが大事です。また、整理した希望は「市場にニーズがあるか」も調べましょう。全くない理想の求人を追いかけていては意味がありません。条件が厳しすぎる場合は修正し、求人実態との妥協点を見つけましょう。
「ないもの」より「今あるもの」「今できること」に目を向けて
「いつか働きたい」と思っている人は、「理想の完璧な仕事」を探し続けてブランクが長くなるより、譲れない条件以外は条件をゆるめ働きましょう。そうすることが、将来の「やりたい仕事」につながります。子どもに手がかからなくなった時の自分を助けてくれるのは、早めに積んだ仕事の経験です。理想を求めすぎて5年、10年とブランクが長くなっていくにつれて、企業の目は厳しく、再就職や復職が難しくなります。
始めは、保育料と稼ぎが相殺されてしまう人もいるでしょう。私もほとんどが認証保育園の保育料で消えていた時期がありました。でも、モヤモヤ悩んでいたその時に目の前の損得だけではなく将来の投資と思って乗り切った時期があるからこそ、今があります。
そうはいっても割に合わないと思うくらいなら、まだ働かないほうが良い、と考える人もいるでしょう。そうした人は、今は子育てを楽しんだり、勉強したり、違った角度の人生経験を積んでいる時期だと思って、「こういう状態になったら一歩踏み出す」と計画を練ったり、情報収集をしたりするのが良いと思います。目の前の1年~3年だけ見ると焦ってしまいますが、中長期で見て整理することで、現状に納得することもできます。
ただし、整理が曖昧だといつまで経っても一歩踏み出せないことになりかねません。自分の人生や家計を考え、いつまでにどういう状態にしたいか見直し、「ないものやできないこと」よりも「今あるもの」「今できること」に目を向けて少しずつ動いてみましょう。求人サイトを見てみたり、キャリアカウンセラーに相談をしてみたり、本やイベント参加から先輩ワーママの働き方や声をきいてみたり。動きながら見えてくるものがあります。
【筆者プロフィール】
谷平 優美
時短ママ戦略活用アドバイザー/株式会社ルバート代表取締役。早稲田大学商学部卒業後、総合人材サービス会社で新規事業立上げ・執行役員を経て、 株式会社リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。WEB企画・マーケティング、法人営業を経て退職。出産前後には専業主婦やフリーランスも経験。サロン講師、就職講座講師やキャリアカウンセリングをしながら、無理ない子育て中の働き方を模索するも待機児童となり認証保育園を利用しながら活動。転職支援・キャリア教育に関わった経験と、出産後に感じた様々な社会への違和感に何か発信をしたいと2012年にママハピを創業。2018年、株式会社ルバートに社名変更、時短ママたちによるジョブシェア体制で事業運営。2児の母。