「ブスでも堂々としてていい」山崎ナオコーラ ”ブス差別”に持論展開 「痴漢撲滅ポスターに可愛いキャラを使うこと」に反対
作家の山崎ナオコーラさんが6月4日、「5時に夢中!」(TOKYO MX)に出演し、「世にはびこる無自覚な”ブス差別”の現状」について持論を展開した。山崎さんいわく、”ブス差別”の定義は、
「容姿を理由に仕事を阻害したり居場所を移動させたり、罵詈雑言を浴びせること」
で、『ブス差別禁止法案』という形で「ブス芸人に美人風のメイクを施してあげる企画を禁ずる」など5カ条を解説した。(文:okei)
「勘違いブスという蔑称」「ブスの容姿の一部を無理にほめること」を禁ずる
山崎ナオコーラさんは2004年、映画化もされた『人のセックスを笑うな』で作家デビュー。当時、新聞に自分の顔写真が載ると、「ブス」という酷い誹謗中傷がネット上にあふれた。「山崎ナオコーラ」の第二検索ワードが「ブス」になってしまい、以来ブスについて真剣に考えるようになったという。番組の企画で次のような『ブス差別禁止法案』を提案した。
第1条「勘違いブスという蔑称」を禁ずる(ブスは自信を持つなという強い圧力になる)
第2条「ブス芸人に美人風のメイクを施してあげる企画」を禁ずる(美人を目指すことだけがブスの幸せではない!)
第3条「自分でブスなんて言っちゃダメだよ~」と咎めることを禁ずる(励ましのふりをした外見至上主義の主張)
第4条「痴漢撲滅ポスターに可愛いキャラクターを使うこと」を禁ずる(”被害者は可愛い”という偏見で、ブスは被害を訴えにくくなってしまう)
第5条「『肌がきれいですね』などブスの容姿の一部を無理にほめること」を禁ずる(容姿以外をほめるべき)
解説を求められた山崎さんは、第1条について、「ブスが堂々としていると、『美人だと思ってるんじゃないの?勘違いだよ」という意味で「勘違いブス」という言葉が使われるが、
「別に美人じゃなくても、ブスでも堂々としていていいと思うんです。顔が悪いって認識してても、自信がありますから。堂々としたい」
と語り、「勘違いブス」という言葉をなくしたいと主張した。人の価値を外見だけに置かない考え方だ。
第4条の痴漢撲滅ポスターについては、
「被害者のイメージをコントロールしてると思うんですよ。他の犯罪では、被害者にフューチャーしたりイメージを固定化したりしていない。そのイメージに合わない人が声を上げにくくなると思う」
と語った。痴漢は若くて可愛い女子だけが遭うもの、というイメージをつけてはいけないという主張だ。
「痴漢被害者のイメージをコントロールしてる」に大橋未歩アナも納得
フリーアナウンサーの大橋未歩さんはこれついて、「確かに私も30歳過ぎて40近くだったりすると、『あなたはもう痴漢なんて遭わないでしょ』と言われるんですよ。ブスは痴漢に遭わないだろって、それと同じですよね」と賛同。スタジオ一同納得していた。
山崎さんは、エッセイ『かわいい夫』(夏葉社)でも、顔が悪いことはコンプレックスではなく、「顔を理由に排除されたり、下に見られること」に苦しむのだと主張している。女性を外見だけで評価することに慣れきっていると伝わりにくいことだが、今後はこうした価値観が広がっていくといい。ツイッターでは「目からウロコ」「めちゃ納得いく」といった称賛が上がっている。山崎さんは7月10日に、エッセイ『ブスの自信の持ち方』(誠文堂新光社)を出版予定だ。