「満員電車に子連れで乗るな!」と怒る人の心理 優遇されている”ように見える”子育て世代に矛先が向きやすい側面も | キャリコネニュース
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「満員電車に子連れで乗るな!」と怒る人の心理 優遇されている”ように見える”子育て世代に矛先が向きやすい側面も

「満員電車に子連れで乗るな!」と怒る人の心理

「満員電車に子連れで乗るな!」と怒る人の心理

先日、赤ちゃんを抱えている「抱っこひも」のバックルをはずされるというニュースが話題になりました。悪質な嫌がらせともとれますが、識者からは「フラストレーションのはけ口が女性や赤ん坊だったのかもしれない」といった見解も寄せられています。

ママハピ会員のママさんの中にも「子育てに冷たい社会だと感じる」という人が多いです(もちろん、あたたかい声をかけてもらった、という声も多いですが)。ベビーカーで電車に乗ると冷たい態度を取られた、ひどい言葉をいわれた、といった話はよく聞きます。

海外在住経験がある方からも、日本と海外の子育てへの理解はギャップがあるという声があがっています。実際、私も海外旅行に行った際、老若男女かかわらず子どもに対してとても優しく、すぐ笑顔で話しかけてくれるなんてことばかりでした。社会がとても子育てに優しく、みんなで子どもを大切にしているのという実感を持ちました。

ではなぜ、日本には”子連れヘイト”があるのでしょう。その背景には、「想像力の欠如」と「自分が大切にされてないことへの怒りの現れ」があるのではないかと感じます。(文:時短ママ戦略活用アドバイザー谷平優美)

“ママ”はラッシュ時に子連れで遊びに行くわけではない

1つ目の「想像力の欠如」について。昔は何となく、子育て中といえば専業主婦が共通イメージでした。でも今は、ママ像も多様化しています。パートや時短で働く兼業ママ、フルタイム社員のママも急増。夫よりバリバリ稼いでいたり、子育てしながら会社を経営していたり。ほかにも舞台で活躍する音楽家など、一見、子育てしていると想像がつかないという人も多いです。

そこで、「満員電車に子連れで乗るんじゃねー!」と怒る人について考えてみます。私自身も子育てを経験していなかったらそう思ってしまったかもしれないので他人事ではありません。

そもそも、なぜイラつく人がいるのでしょうか。恐らく「満員電車で大人も苦しいのに子連れでお出かけかよ」と思っている人が多いのでしょう。しかし、その”ママ”はラッシュ時に子連れで遊びに行くのでしょうか?

待機児童で待ったあげく3駅離れた保育園にしか入れない人もいます。企業内保育所に何とか入れたから満員電車は嫌だけど連れていくしかない人もいます。理解のない上司が9時にとにかく来いと言っているのかもしれない。

子連れにイラついてしまう人はちょっと立ち止まってみてください。収入面でも生き方の面でも、女性も働くのが当たり前になっているのに、どこかで「女は家庭に入ってるべきだ」という価値観があるのかもしれない。

「私たちの時代と違って今の子育て世代は甘えてる」「戦略的に育児体制を考えられてないあなたが悪い」と突き放しているのかもしれない。

子どもだって押しつぶされて危険です。親は子が泣きわめいて周りに迷惑をかけたらどうしようとヒヤヒヤ。好きで満員電車に乗ってるわけではありません。

そういう社会背景を踏まえた上で、個人に怒るのではなく、将来自分の年金を支えてくれるかもしれない子どもが”満員電車に乗らざるを得ない”現状に怒り、社会人として、何ができるか考えるほうが本筋でしょう。

経験していない世界を想像するのは難しい。けれど、そういう子連れの背景を想像する心の余裕が必要なのではないでしょうか。

将来を支える子どもが減っているのに、攻撃するのは自分の首を絞めるようなもの

2つ目の「自分が大切にされてないことへの怒りの現れ」について。人は、自分が大事にされ認められていたり、幸せで満たされていれば、他人を攻撃したり、不正行為をしてまで目立とうという気持ちもなくなっていきます。

何か満たされないフラストレーションが溜まって消化ができないと、社会的弱者や、何となく優遇されている”ように見える”子育て中の人に「こっちだって大変なんだよ」と矛先が向きやすい側面があるように思えてなりません。

だからこそ、子育てする側も、守られて当然だとふんぞり返るのではなく、あくまで感謝を忘れず、違った立場の人ともお互いさまという姿勢はもちろん必要でしょう。

バブル期は失業率だけでなく犯罪率も低かったようですが、平均収入も下がっている経済状況のなか、他人を攻撃する風潮や事件が増えていかないか心配です。将来を支えてくれる子どもがただでさえ減っているのに、攻撃するのは自分の首を絞めるようなもの。

子どもたちを大切にすることは、結果的に未来の自分たちにも返ってきます。「子連れ出勤に舌打ちする人も心に余裕が出る職場づくり」を含めて早急に仕組みを考えていくべきでしょう。

著者近影

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【筆者プロフィール】

谷平 優美

時短ママ戦略活用アドバイザー/株式会社ルバート代表取締役。早稲田大学商学部卒業後、総合人材サービス会社で新規事業立上げ・執行役員を経て、 株式会社リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。WEB企画・マーケティング、法人営業を経て退職。出産前後には専業主婦やフリーランスも経験。サロン講師、就職講座講師やキャリアカウンセリングをしながら、無理ない子育て中の働き方を模索するも待機児童となり認証保育園を利用しながら活動。転職支援・キャリア教育に関わった経験と、出産後に感じた様々な社会への違和感に何か発信をしたいと2012年にママハピを創業。2018年、社名変更後は時短ママのジョブシェア体制で事業運営。J-WAVEやフジテレビライブニュースα、東洋経済、NewsPicksなどメディア実績多数。2児の母。

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