健康社会学者の河合薫氏が1月6日の「モーニングCROSS」(MX系)で、人手不足が進む中で生産性を高める方法として「今後10年間のキーワードは『働きがい』だと思っています」と持論を展開した。
「働きがいというと、いつもモチベーションを高く保つことだと思う人が多いんですけど、『しんどい、大変。でも、明日がんばろう』と思ってまた仕事に行ける、続けられることが働きがいだと思うんですよ」
と強調した。(文:石川祐介)
「社内研修はどれも20代を中心にしたものばかり」
河合氏は、厚生労働省が昨年9月に発表した「令和元年版 労働経済の分析」を紹介。働きがいを感じている人の特徴として「人間関係やコミュニケーションが円滑」「労働時間の短縮が進み、柔軟性が高い」「余暇時間がしっかり取れ、自己啓発に励む経験がある」などといった分析結果について語った。
特に、自己啓発については「社内研修はどれも20代を中心にしたものばかりです」と指摘する。その上で「現在10人のうち6人が40歳以上ということを考えると、30代、40代に対象にした社内研修をすることも非常に重要だ」と意見を述べ、
「企業は社員が働きがいを持って働けているのか、っていうことをまずは最大のゴールにして、企業運営をやっていくことが重要ですよね」
とまとめた。
働きがい議論にネット民「まずは報酬上げてくれ」
河合氏のこうした意見に、ネット上では「労働意欲を高めて欲しいなら、相応しい報酬を出してください」と、働きがいを得るためには給与アップが必要だとする声が目立った。このほか、
「他力本願な発想のうちは働きがいは見出せないと思う」
「働きがいなんて自分で見出すものでしょ?他人に頼るのが間違ってる」
働きがいは個人が見出すものであり、誰かに与えられるものではないと主張する人も多かった。いくら裁量権が与えられて柔軟に働ける会社にいても、自身が働きがいを感じるための努力を惜しんでいては、得ることは難しいかもしれない。
中には「『働きがい』なんて言葉は、経営者が賃金を払えない、払いたくない時に使う」と、”働きがい”という言葉そのものを企業の言い訳だとするコメントも。
確かに、労働の対価である給与水準が低ければ、社員に対して”働きがい”をどれだけうたっても響かないだろう。働きがいが重要なトピックであることは否定できないが、社員が感じられるようになるまでには、前述の厚労省の分析結果にみられる前提を踏まえることが必要そうだ。
企業側の取り組みを考える上では、最低賃金の引き上げや長時間労働の短縮と並行して推進されることで、単なるうたい文句ではない、本当の意味での”働きがい”が実感できるのだろう。