接骨院を営んでいると、「痛みがある」「肩が凝る」など様々な悩みで患者さんが来院されます。ある40代の女性患者さんで「いつも片側だけが痛い」「仕事にいくと頭がいたくなる」という症状の方がいました。
内科的な問題なのか? 仕事でのストレスなのか? 同じ姿勢をとるからなのか? いろんな角度からアプローチして、その時は楽になっても、また片側だけが痛くなるという症状を繰り返していました。
「やっぱり仕事へのストレスかなぁ」と思いながらカウンセリングしていくと、ある答えにたどり着きました。その原因を取り除いた瞬間に痛みがみるみるうちに緩和していったのです。その原因は”仕事場で隣に嫌いな人がいた”というものでした。(柔道整復師 ちばつかさ)
席の移動で痛みが減り、転職で慢性的な痛みも治まる
職場で隣に嫌いな人がいる。どうやらそれがストレスになり、片側だけに強く痛みが出ていたようなのです。カウンセリングしてその話が出たので提案したところ、席の移動で痛みが減り、転職で慢性的な痛みも治まりました。
もちろん、すべての人に当てはまるわけではないし、嫌いな人がそばにいることが必ずしも肩こりや慢性的な痛みの原因になるわけではないのではありません。ただ、名古屋大学は昨年、「ストレス下の筋緊張が慢性的な痛みに繋がる」という研究結果を発表しています。
“夫源病”という言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。夫の発言や存在自体にストレスを感じ、痛みの場所や原因が特定できない不定愁訴や血圧の上昇を招くというものです。人間はストレスに対して拒否反応を示します。それが長期に渡れば、慢性的な痛みに変わるのも頷くことができます。
嫌いなもの、場所から距離を取れば体の調子も変化する
嫌いな人に触れられる、嫌いなもの(食べ物や動物など)がそばにある、臭い場所や落ち着かない場所などにさらされるなどして体がこわばった経験はないでしょうか。ストレスで便通が悪くなるのもそう。僕自身も過ごす場所によって異なる場所の体のこわばりを感じます。
例えば、嫌な人が右側にいれば、自分の体の右側がストレスにさらされます。つまり拒否反応を起こす人がいつもいる方が張っている。
姿勢の癖で片側だけが緊張している人も多いですが、もし自分の生活環境を振り返って、近くにストレスになるものがあるのであれば遠ざけてみてください。電車だとしても合わない人が隣に座ってきたら、即座に移動することをオススメします。
僕自身、起業した際に、人間関係のトラブルで失敗したことがありました。その時は生理的にその人のことをまったく受け付けなくなり、着信があるだけで体がこわばった経験があります。
心理学者アルフレッド・アドラーは「人間の悩みは、突き詰めていくとすべてが人間関係の悩みだ」と言いました。人間は心地の良い相手と一緒にいるほうが気分もいいです。抱き合える仲、抱きしめたい相手であればあるほどオキシトシンというストレス軽減を促してくれる愛着ホルモンの分泌を促すという研究結果もあります。
仕事の条件等で難しいかもしれませんが、慣れようと思っても慣れず、あまりにも嫌いな人や嫌いなもの、嫌な場所、苦手な場所がそばにあるのなら、それを遠ざけると体の調子も変わってくるのかもしれません。
頑張っても受け付けないのであればそれこそ”嫌われる勇気”は必要
日本人には、空気感を大事にする心理があります。嫌いな人でも「嫌いじゃない」という雰囲気づくりをしてしまうこともあるでしょう。家族であれば「家族なのだから一緒にいるのが当たり前」という義務感をもつかもしれない。
ですが、体がぼろぼろになってからじゃ遅いです。たとえ友達だろうが家族だろうが、あまりにもストレスになるようであれば思い切って切るべきです。
頑張っても慣れない、頑張っても受け付けないのであればそれこそ”嫌われる勇気”や”嫌いになる勇気”は必要です。その勇気で喜ぶのはみなさんの体なのだから。
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【筆者プロフィール】ちばつかさ
合同会社komichi代表。柔道整復師、こころと体のコーディネーター、元プロ野球独立リーグ選手。東京と福井で投げ銭制の接骨院を運営しのべ10万人近くの心と体に向き合ってきた。野球経験とコーチングの経験を活かし都内で“野球を教えない野球レッスン”を運営。レッスン卒業生がU12侍ジャパンの代表に選出された。現在、心理学を学ぶため、アラフォーで大学在学中。【公式サイト】