「就活アウトロー採用 旅人編」が説明会開催 若新雄純氏が力説「中学2年生の感覚を取り戻すことが重要」
「海外を放浪してたら就活シーズンが終わってた」。そんな少し変わった若者を対象にした就職マッチングサービス「就活アウトロー採用2015 旅人編」の説明会が3月15日、東京・目黒で開催された。
同サービスは、NPO法人キャリア解放区と、若者の旅文化を支援する団体TABIPPOが企画。「NEET株式会社」や福井県鯖江市の「JK課」などを手がけてきた慶応義塾大学特任助教の若新雄純氏がプロデューサーを務める。
「とにかく日本にいたくなかった」という学生も
3月10日に行われた第1回の説明会には、約30人が参加。2回目となる今回は13人が集まった。男女比は半々。下は大学生から、上は30歳のフリーターもいた。
冒頭でキャリア解放区の納富順一代表が、「今回は旅をテーマに、健全な寄り道をした若者を集めてみようと思って企画してみました」と改めて趣旨を説明した。
「みんな大学3年生になると就活を始めますが、そういう順当な道に進まずに寄り道をしてきた人の方が優秀だったりすることもある。今回も混沌した場から企業とのいい出会いがあることを期待しています」
続いて若新氏が参加者に対して、「『なんとなくの旅』って何?」と問いを投げかける。今回のサービスは、語学を身につけたいとか国際問題に興味があるといった理由ではなく、「無目的に旅をしていた人」が対象になる。
「大人たちはあらゆるものに目的を求める傾向があって、ブラブラすることは悪いと思っている。そこで今日考えて欲しいのは、みなさんがやってきた『なんとなくの旅』についてです。『なんとなく』って、どういうことなんでしょうか」
参加者たちは、これについて3~4人に分かれて議論。タイのバンコク郊外に1年間滞在していたという24歳の男子学生は「海外を見たいとかは特になかった。とにかくこの日本いたくなかった」と語る。日本は「人が多すぎる」といい、静けさを求めて海外に行っていたようだ。
若新氏「中3以降に形成される自分に本能はない」
別の参加者からは「とりあえず世界を見たくて何となく行ってみた」といった声が出る。ウズベキスタンにモスクを見に行ったという女性参加者も「プロを目指すわけでもないけど、色んな場所で写真を撮ってみたかった」と話す。「なんとなく」の内容は様々であるが、純粋な好奇心が背景にあるケースが多いようだ。
中には、「小学生のころから旅行が好き。ずっと地図を見ていた」という人も。これには若新氏も「本能的に旅を求めていたってことですね」と興奮して聞き入っていた。
若新氏は、多くの人は就活が始まると「自己分析」を始めるが、中3以降に形成される自分は「あくまでも社会的なもの」と指摘。自分が持つ本能的なものを理解しようと思ったら、「中2以前のこと」しか考えてはダメだと強調する。
「世の中には中2病になることを回避して大人になってしまう人も多いけど、そんなんじゃつまらない。これからは中2以前の感覚を取り戻して、純粋で内的な動機をいかに高めていくかが重要です」
「就活アウトロー採用 旅人編」は、今後東京と大阪で1回ずつ説明会を開催する予定。4月中旬から週1回ペースでワークショップを実施し、5月中旬から企業とのマッチングを行う。内定が出るのは6月以降になる見通しだ。
納富代表は今回の参加者について、「サバサバしている人が多くて、いい意味で理想が高すぎず、こだわりがない。バックパッカーも多いので、不測の事態や変化にも強そう」と好評価。「企業の側が心を開けば、うまくマッチングできるのでは」と話していた。
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