新型コロナウイルスの影響でストレスを抱え込んでしまっている人も多いだろう。家の外に出て気分転換することもできず「自粛疲れ」に陥り、カウンセリングを受ける人もいるようだ。
オンラインカウンセリングサービス「うららか相談室」を運営するココドコロの遠山慎一代表は「昨年11月のリリースから間もないこともありますが、外出自粛前の2月と比べ、4月の相談件数は6倍以上になっています」と語る。
感染拡大以降、夫婦間や兄弟間、育児関係といった相談が増えているという。背景について、遠山代表は「以前から多少の問題を抱えており、それが新型コロナウイルスの外出自粛により悪化したというケースが多く見られます」と説明する。
外出自粛をきっかけに「自分の性格や人間関係を見つめ直したい」という人も
職場の人間関係についての相談も増えている。在宅で働く人からは、「緊急事態宣言の解除後に仕事に行くことが不安」といった相談も寄せられている。
中には、外出自粛をきっかけに「自分の性格や人間関係を見つめ直したい」とオンラインカウンセリングを受ける人もいるという。こちらはある意味で前向きだ。一方、「行動が制限され家族と過ごす時間が増えて疲れた」「一人暮らしで孤独感が強くなった」と感じている人もいる。遠山代表は、
「『自分は大丈夫』『周りも同じ状況だから』とストレスを抱え込んでしまうと、うつ病などの精神疾患に発展する可能性も出てきます。愚痴聞きや話し相手、こんなこと相談してもいいのかなと思う些細な内容でも気軽に相談していただければ」
と語る。
外出したいと思っても「そう言う事すら『みんな我慢してるのに』と思われるのでは」
同じく、オンラインカウンセリングサービス「コトリー」でも利用件数が増加している。2月から3月にかけて31%増、3月から4月にかけて22%増と右肩上がりだ。
運営会社の櫻本真理代表取締役は、「コロナ禍による睡眠・食事・運動などの生活習慣の変化、外出自粛で余暇活動ができないことなどがストレス増幅に繋がっているケースもあります」と話す。
「相談内容は新型コロナに関連した不安のほか、生活や働き方の変化で抑圧感や無力感を持っている方が増えています。家族に当たってしまったり、やる気がなくなってしまったりするというという声もあがっています」
趣味などストレス発散できる場が減っている中、外出や旅行などに行きたいと思っても「そう発言することすら『みんな我慢してるのに』と思われるのでは」と自分で気持ちを押し殺し、さらにストレスを抱える人もいる。
在宅ワークによるストレスも無視できない。普段、非言語コミュニケーションで読み取れていたことも、オンラインでのコミュニケーションとなると相手の感情が分かりづらい。在宅勤務のための設備が整っていない、家族がいる中での仕事は中々生産性が上がらないという声もあがっている。
櫻本代表は、この状況で不調は起こって当然とし、「不安や苛立ちを否定するのではなく、その感情を認める。コントロールできないことは諦め、できることは対処していくという冷静さを持っていくと良いかと思います」という。
その上で、コロナ禍では”今までとは違う解消法”を探し、意識して体を動かす、食や睡眠などの生活習慣を整えることなどを勧めている。
「子どもがずっと家にいるストレス」に悩まされる人も
オンラインカウンセリングサービス「ボイスマルシェ」にも新型コロナウイルスに関する相談が寄せられている。運営会社バーニャカウダの菅野彩子取締役によると、急事態宣言以降の「家族が自宅にいる中でのリモートワークのストレス」「感染リスクがあるのに子どもを預けて働く葛藤」という働き方に関する悩みが寄せられるようになったという。
生活面での悩みとしては、「自分自身や介護中の家族などの感染不安」「雇用、退職、通勤などの労働不安」「経済不安」「家族の変化」「対人関係の変化」「ストレス感情のコントロール」「自責」の7点に分けられる。
菅野代表は「程度の差はあれ誰もが渦中にいる当事者であり、それぞれにストレスや疲労を感じているはず。大変な状況だからこそ、自分のストレスや疲労に気付き、労うことを忘れないでください」と語った。