「大学出ても名刺の出し方も知らない」日本電産社長の発言に批判が続出したワケ

名刺交換のマナーは、一度経験すれば容易に覚えることができるものであり、OJTで教える企業も多い。それだけに「大学生ができない」という批判に対して、違和感を覚える人が多かったのも当然だったと言える。

数年前には「大学が就職予備校化している」という批判が高まったこともある。実際に「即戦力の社会人スキルを求めるのは逆戻り」という人もいた。

こうしたビジネスマナーに関しては、しばしばネット上で”謎ルール”として話題になる。最近では、SlackやZoomで「上司より先に退出しない」「自宅作業中にミュートにしてはいけない」という会社があると報告されている。確かに「昭和的な企業風土を残そうとしている」という印象は否めない。

これだけ批判が集まる背景には、近年の日本企業の生産性が低いことが影響していると思われる。2019年版の「労働生産性の国際比較」によれば、日本の就業者1人あたりの労働生産性は8万1258ドル(約824万円)で、OECD諸国中21位、主要先進7か国中では最下位だった。

このような実態から、働き方改革が叫ばれている時代背景と、旧来のビジネスルールによって軋轢が起きている実態との間で板挟みになっている現状に、矛盾を感じている人が多いのではないだろうか。

オフィス街で見知らぬ人と名刺交換する新人研修も

名刺交換の例では、不動産会社などが新入社員にオフィス街で見知らぬ人に対して名刺交換させる研修を実施していることについて、批判的に捉える空気もある。また、新型コロナにより”新しい生活様式”が始まっている中で、専門教育の時間を削ってまで”名刺交換”を学ぶ必要性があるかには疑問が残る。

永守会長は2018年から京都先端科学大学の理事長を務めており、教育に熱心な経営者として知られている。経済界の重鎮とも言える人物が名刺の出し方を問題視したことに、暗たんたる気持ちになった人も多かったのではないだろうか。