僕は九州の田舎で生まれ育った。商店街とかはあるけど、別に賑やかでもなかったし。デパートなんかもあったけど、僕が成人する頃にはつぶれてしまった。
都会生まれ、都会育ちの人には想像もできないかもしれないが、都会で楽しめる娯楽のほとんどはなかった。でも、田舎には田舎のメリットもあって、都会では味わえない楽しみもある。今回は、未だに地方で暮らしている立場から田舎の良さを弁護していきたい。(文:松本ミゾレ)
都会に住んでいても「せわしないし、疲れる」と感じる人はいる
5ちゃんねるに先日「田舎って家賃が安い以外に特にメリットなくない???」というスレッドが立った。スレ主は、理由について「家賃は安いけど車必須だからトントンだし」と書き込んでいる。
田舎にはメリットがない、という主張であるんだけども、僕はこれちょっと違うと思っている。正確には「都会よりも田舎の方がメリットが少ない」ってぐらいの話なんじゃないかと感じるんだよね。
だって、メリットについては見る人が見ればデメリットだったりするし。例えば、僕は虫が好きだけど、田舎暮らしだから昆虫もしょっちゅう見かける。でも、虫が嫌いな人にしてみれば、それだけで田舎にデメリットを感じるはず。
逆に、都会にデメリットを感じる田舎者もいる。都会の交通網の充実は便利だけど、一方で「せわしないし、疲れる」と思う人だっているかもしれない。都会の夜は明るいけど、そのせいで「星が見えにくい」と思っている人もいるだろう。
そもそも、田舎が都会に比べてメリットが少ないって感じる人たちって、お金の話を前提にしてることが多い。実際に、僕の周りにも「田舎はつまんない」「都会はいいよ」みたいなことを言う人がいる。
だけど、大体そういう人の話をよく聞くと「都会は時間をお金で買える」「田舎は車が必須で維持費もかかる」とか”お金”が基準になって損益を考えるみたいなことが結構多かった。
つまり暮らしについては、お金の面だけではなく、環境とか、労働ストレスとか、そういう面でもメリットを求めた方が判断を狂わせないんじゃないかと思うのだ。
交通網の不備は実はあんまり関係ない
スレッド内には、田舎のメリットを挙げる意見も多い。書き込みの一部を紹介してみたい。
「近所のジジババがトマトくれる」
「車で目的地の真ん前まで行ける」
「空気と水の綺麗さは大きいよ。シャワー浴びた後とか髪質が明らかに違う」
「政令指定都市の郊外から人口8万程度の田舎に引っ越したけど土地安いから広めの家建てて3台分の駐車場+十分な広さの庭が作れるよ」
とこんな感じである。意図的に、あんまりお金に関係ない話を引用させていただいた。
さっきも書いたように、この手の話ってお金に絡むメリット、デメリットばかりに焦点が行きがちだ。一方で、実際に暮らしてみてQOLが向上したかどうかの話は意外と少ない。あったとしても、せいぜい電車の本数とか、交通インフラありきの話になってしまう。
でも、田舎って住んでみれば分かるけど、限界集落でもない限りは交通網の不備ってあんまり関係ないし、そこだけで生活が完結させることもできる。滅多に県外に出ない人は、若い世代にも多い。休日はイオン行ってなじみの店で外食して、あとはお小遣いで車をいじる、みたいな。そういう世界もある。
田舎は田舎で、水が合ってれば全然住みやすい場所なのだ。最近は、近所付き合いも昔ほど密ではなくなったし、人付き合いが苦手でもUターンで田舎暮らしをするならば問題もそう多くないだろう。