「働けど働けどわが暮らし楽にならざり」――毎月の給料明細を見て石川啄木の句を思い出す人もいることだろう。ガールズちゃんねるに「日本の給料は低すぎませんか?」というトピックが立ち注目を集めた。
地方の田舎住みだというトピ主は、求人を見て「正社員でさえ月給12万円とかです。良くて月給16万円とかです」と給料の低さを嘆いている。ここから税金などを引かれるため、
「到底生活できるとは思えません。日本の給料は低すぎませんか?」
と問いかけた。トピックには4000以上のコメントが寄せられ、低賃金に不満を持つ人の多さがうかがえた。(文:okei)
「田舎の事務員で契約社員、1月分の給料手取りで14万でした」
コメントは、「私も正社員で16万ボーナス無しだよ。一人暮らしとか無理」など、所得の低さにあえぐ声が相次いだ。
「高卒24歳、北陸地方の事務員。手取りは13万です。服や靴はメルカリ、スキンケアやコスメは100均、お腹が空いたらお茶でごまかす。贅沢は基本できません」
「田舎の事務員で契約社員、1月分の給料手取りで14万でした」
特に地方で暮らす事務職、介護職の人からの嘆きが目立つ。田舎は車必須で物価もそれほど安くない、と使えるお金の少なさを訴える人も。「働いたら働いたらだけ税金とられるしやってらんね」という不満や、「せめてフルタイム勤務なら普通に暮らせるだけのお金は欲しい」という声が切実だ。
地域差や学歴差を嘆く声が多いなか、男女格差を訴える人も散見された。
「女は契約社員で十分とか、職階とかボーナス上げなくてもいいやとか田舎は当たり前だよ。田舎で稼ぎたかったら、田舎本社じゃなくて、東京本社とかの企業にすべき」
また、転職前は月給30万円だったという人は、「転職してゆっくり働きたくて手取り20万(控除考えて25万)と派遣先に言ったら鼻で笑われた。いやいや、こちとら本気ですが何鼻で笑ってくれてるん?ってイラッとした」と書いている。女性というだけで給料が低く見積もられる状況に憤っていた。
職種にもよるが、女性は父親や夫など一家の大黒柱の稼ぎで暮らす前提で賃金が低く押さえられてきた。非正規雇用の割合も多く、これが日本全体の賃金の低さを維持する要因ではないかとも思えてくる。
非正規労働者の増加が「賃金押し下げファクターとして作用」
厚労省サイトにある「日本の実質賃金低迷の背景」には、実質賃金低迷の原因がいくつか示されている。ひとつには、「日本の労使関係の特異性」があるという。米国などは業績が悪化すれば人員削減に踏み切る一方、日本は雇用維持を優先し、賃金で調整する傾向が強い。リストラするより給料を下げようというわけだ。
日本で90年代半ばまで賃金が上昇していた理由は、人口増加による好景気や、春闘(労働組合)が機能しており、物価上昇が当たり前のなかサービスの質に関わらず値上げが受け入れられる環境だったからだという。
しかし、90年代半ば以降は春闘などの仕組みが十分に機能しなくなったことに加え、
「パートタイム労働者比率が一貫して賃金押し下げファクターとして作用してきた」
「雇用調整の難しい正規社員の雇用を抑え、非正規雇用比率が高まる」
と記されている。つまり雇用の調整弁として非正規雇用が増加し、結果的に全体の賃金も押し下げたのだろう。リストラしない(実際にはかなりしているが)代わりに、非正規にシフトした企業が多いということでもある。
ガールズちゃんねるには、あまりに低い賃金に「転職しないの?」と驚く人もいた。すべての人がそこまで低賃金というわけではなく、格差が問題でもあるだろう。ただ、時給800円ばかりでやる気が出ず無職という人もいたので、せめて働くモチベーションが上がるくらいの給料が出せる会社が増えてほしいものだ。