小さな会社を家族や親族で切り盛りしているという零細企業は多い。アットホームと言われれば確かにそうかもしれないが、親族にだけ贔屓して血縁関係のない社員には冷遇するケースも珍しくない。
建築・土木技術職の50代男性は、次のように証言する。
「休みは第一・第三日曜日のみだった。重役である親族が退社しないと帰れないので、朝7時に出勤で退勤は午後7時半~8時半くらい。現場が自宅の近くであっても直行直帰は認められず、片道1時間以上かけて会社へ出勤したことなんてざらにあった」
今回は、ブラックな家族経営の会社で経験したエピソードを紹介する。(文:林加奈)
2店舗分の店の経営を一人で、残業なしで任されることに
販売・サービス職の30代女性は過去に勤務した会社が家族経営の少人数の会社だった。2つの店舗を経営していて、ほかの女性従業員が妊娠し退職したために、2店舗分の仕事を残業せず定時までに仕上げなければならなくなった。
「代わりに従業員を採用することもなく、自分にはろくな説明もないまま休日を減らされた。月8回だったのが、毎週日曜だけ、有休も実質なし」
この状況について女性は会社に不服を申し立てたが、数年間にわたって何も言わなかったことを理由に何の対応策もとられなかったという。
本来、従業員から何も申し出なければ会社から休みについて提案するべきだろう。この会社で血縁者がこの女性と同じような状況に置かれたら、従業員を新たに募集するのだろうか。
「高額な出張費も経費で落とし、社長の懐へ」
エンジニアの40代女性は同族経営の会社で10年間、パートタイム勤務した経験がある。父親が社長を務め、母親が経理、息子が専務をしていたが、
「出張が多い仕事で、息子や社長が出張すると必ず手土産代を経費で落とす。家族のみ出張費がとにかく高額で出張すればするほど懐に入ってくる」
それだけでなく、経理を務めていた母親によって出勤時間や給与体系まで調整していたという。
「出勤簿はエクセル自己申告で、母親は繁忙期でも遅刻・早退・欠勤しているのに毎日フルタイム出勤としてエクセルに入力。母親の給料はいつの間にか時給から月給へ変更されて毎月30万弱。繁忙期手当をつけていた。パートは忙しく残業していたにもかかわらず繁忙期手当はなし。この母親のさじ加減でパートのボーナスは1ヶ月分、2名の社員と母親は1.5か月分になっていた」
この会社は給与でも勤務時間でも身内に甘く、他人に厳しい会社だったようだ。女性は「ここに書ききれないくらい、とにかく家族のことしか考えていないひどい会社」とも綴っている。
※キャリコネニュースでは引き続き「ブラック企業経験談」や派遣社員の不満に関するアンケートを募集しています。