
画像はイメージ(AIで作成)
「今すぐ会社に来い!」――海外出張中にもかかわらず、社長から激怒の電話。編集部に情報提供してくれた川本さん(40代男性、仮名)はかつて、成果よりも社長の機嫌が支配する中小IT企業で営業として働いていた。
10年ほど前、川本さんはシンガポールで開催された展示会に参加した。3泊4日の日程を終え、最終日に帰国するため空港へ向かおうとしたその時、社長から携帯電話に着信があったのだ。川本さんに当時の状況を詳しく聞いた。(文:天音琴葉)
「お前どこにいるんだ!」
川本さんが、シンガポールに出張で飛んだのは、社長命令を受けてのことだった。ところが電話口の社長は開口一番に、川本さんを叱りつけた。
「出た瞬間に、ものすごい剣幕で『お前どこにいるんだ、会社に来い!』と怒鳴られました。どうやら私がシンガポールに出張していること自体をすっかり忘れていたようで、出社せずに勝手に直行直帰を繰り返していると勘違いしていたと思います」
だが相手は社長だ。川本さんは冷静に、今はシンガポールの会議に参加しているが、これから帰国するところだと状況を説明すると、社長の反応は拍子抜けするものだった。
「『あっ、そうだったか。じゃあ、いいわ』とだけ言って電話を切られました。またか……いつも通りわけのわからん社長だな、と呆れるしかありませんでした」
理不尽なトラブルは、10年ほど前の米国出張でも起きていた。顧客の接待パーティーの場で事件は起きた。
「早く本社に電話して!」深夜のホテルロビーで女性社員から猛抗議
この時も社長の指示で、日本から招待した顧客の経営者の隣に、「帰国子女で英語が堪能で、モデルみたいにきれいだった」という20代の女性社員を座らせていた。「その時点でアウトだと思います」と川本さんが語る通り、事態は悪化する。
「酔ったその顧客が、彼女に個人の連絡先を聞いたり、SNSで友達申請をしたり、さらには体に触るなどのセクハラ行為に及んだそうです」
川本さんはセクハラを目撃していないが、パーティー終了後の深夜、ホテルのロビーで、その女性社員から激しい勢いで詰め寄られたことで知ったという。
「彼女から『早く本社に電話してください!セクハラを受けたのでクレームを入れたいです!』とまくしたてられました。深夜のロビーですから、客観的に見たら私が何かやらかして、彼女から詰められているように見えたはず。あれは本当に困りました」
川本さんはすぐさま日本にいた執行役員に連絡して指示を仰ぎ、女性社員をなんとかなだめた。ところが帰国後、なぜか川本さんが社長から事情聴取を受けたという。最終的に問題の顧客はイベント出入り禁止となったものの、川本さんの気持ちが晴れることはなかったようだ。
そもそも、社長は日頃から社員に対する扱いが「お気に入り」か否かで大きく違ったという。
「私は単刀直入に物申すタイプだったので、当然お気に入りではありませんでした。私や他のお気に入りでない社員は、出張申請を出しても『お前ごときがこんな良いホテルに泊まるな』『お前はタクシーを使うな』などと、パワハラ紛いの暴言を吐かれました」
退職届を出したら「もう社員じゃないからボーナスを払わん」
結局、川本さんはこの会社を退職することを決めた。すると、最後まで社長の身勝手さは変わらなかったようだ。
「退職届を出した際、社長から『お前はもう社員じゃないからボーナスは払わん』と言い渡されました」
ボーナスを支給するかは就業規則次第だが、規則として定めたなら、社長の気分で不当にカットすることは許されない。もっともこの会社の場合、優先されるものは社長の私情だったようだ。
社員を道具のように扱う経営者の下では、どれほど成果を上げても心身が削られるだけ。転職して正解だっただろう。川本さんは現在、別の会社で営業職として働いており、年収は350万円上がったという。
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