勤続年数に応じて役職や賃金が上がる「年功序列制度」。これまで多くの企業で取り入れられてきた当たり前の制度だ。しかし、日本能率協会が2020年6月に発表した「新入社員意識調査の結果」では、年功序列よりも実力主義を望むという人が66.1%だった。
働き方改革や新型コロナウイルスの影響で、働き方に対する考え方が大きく変わりつつあるが、企業の年功序列制度はどのように受け止められているのだろうか。今回は企業口コミサイト「キャリコネ」に寄せられた「年功序列」に関する口コミを紹介する。(文:コティマム)
年功序列=形骸化した評価制度?
「給料に関しては年功序列。居れば居るだけ増える。しかしステップアップするには試験に受からなければならない」(MR/20代前半/女性/正社員/年収300万円)
「出世については在籍期間の長さによる年功序列なところがあります。特にすごい業績を上げていない方でも、長く在籍していると評価されます」(Web関連職/30代前半/女性/派遣社員/年収300万円)
「年功序列制。人事評価制度がないため実績などで客観的に評価されることはない。名ばかりの役職は付くが、機能していない場合も多々ある。人の入れ替わりが多いので、自分が辞めなければ自ずとポジションは上がる」(総務/30代前半/女性/正社員/年収280万円)
年功序列制度を取り入れているという口コミは多く見られた。昇進するには試験に合格する必要がある企業もあるが、なかには在籍しているだけで自動的に上がっていくというパターンも。特に成果をあげなくても給料が上がるので、「ラッキー」と感じる人もいるだろう。しかし、努力しているのに実績や実力を評価されない人は悔しさを抱くかもしれない。
技術関連職の20代男性(正社員/年収540万円)は、年功序列制度に苛立ちを覚えるひとり。男性は東京大学大学院の修士卒。会社の評価制度に不満を感じている。
「私のような東大修士卒、かつ院試を首席で合格した人と、聞いたこともない大学の学部卒の人であっても給与はほぼ同じ。学部卒か修士卒かによって基本給が1~2万円違う程度。昇進のタイミングはほぼ年齢・勤続年数で決まっているため、今後も基本給に差はほとんどつかない。年2回、業務評価を行って賞与に反映されるが、形骸化した評価制度。個人の業務を概要しか伝えられていない上司が評価するため、殆どの人が同じ評価を得て賞与に反映されます」
勤続年数や形骸化した評価制度によって、社員が同じように昇進し、同じだけの賞与を与えられるという男性の会社。学歴や個人の実績、成果を考慮されず給与に差が出ないことに納得がいかないようだ。
実力主義の会社も「勤続年数が短くとも、成果を出せる人が評価される」
一方で、「年功序列は関係ない」という企業の情報も寄せられた。
「年功序列ではなく完全に実力主義なので、営業成績がよかったらその分だけ昇格していく。中途で入社する人の中には同じ業界で働いてきた人が多くおり、そういった経験者は入社時点で管理職スタートになることもある」(テレホンオペレーター/20代前半/男性/正社員/年収300万円)
「年功序列ではない。個人の意思が尊重されやすい。マネージャークラスだったら、強い意思と上司の評価があれば上がることが可能」(ショップスタッフ/20代後半/女性/正社員/年収380万円)
「営業で結果を残せる人が順に出世していく。年功序列、勤続年数は関係ない。若く、勤続年数が短くとも、成果を出せる人が評価される体制になっている」(ルートセールス/20代後半/女性/正社員/年収550万円)
実力主義で実績や結果を出した人が昇格・昇進していく企業もあるようだ。年齢や在籍年数に関係なく、実力が認められた人がきちんと評価されるため、社員のモチベーションも上がる。もちろん業務で結果を残すことは簡単ではないし、プレッシャーも相当なものだろう。しかし努力が昇進や昇給となって返ってくれば、やりがいや達成感も感じられる。
劇的に働き方が変わりつつある今。今後はただ会社に在籍しているだけでは「お荷物」扱いになってしまう恐れもあり得る。「年功序列」から「個人の実績評価」へ移行することも視野に入れ、備えておいた方がいいだろう。