パニック障害などの精神的な病は、たとえ症状が軽くなっても完治するまでには時間がかかる。そのため会社に復職できた場合でも、少しずつ元の生活に心身を慣らしていくのが通常の対応だ。
しかし男性の会社は、主治医から「業務量については特に制限を設けない」という趣旨の診断書を取得した途端、容赦なく業務量を増やしてきた。
「診断書の内容だけを真に受けた会社は『今のあなたは本来の業務量の半分しかこなせていない。明日から業務量を2倍にする』と宣告。そんな話は事前に聞いておらず、身体がつらいので、本音では受け入れられないことでした。しかし給料をもらっている以上、また、ほかの社員に迷惑をかけているという罪悪感があるので、断れませんでした」
会社からの要求に応えようと無理をした結果、男性のパニック障害は悪化。再度休職が必要な状態にまで追い込まれてしまった。
社長からの説教に心折れ「仕事ができないほど身体を壊してしまい、退職しました」
男性のパニック障害が悪化した原因は、ほかにもある。ある日、仕事を開始するやいなや過呼吸になってしまった男性。その日は帰宅するように命じられたものの、「明日社長から話があるから」と気になる言葉をかけられたという。男性が翌日出社すると、待っていたのは社長からの手厳しい説教だった。
「『おまえはおまえの課に、何を貢献してくれたんだ?上長は深夜まで残って仕事しているのに』と言われました。病気で迷惑をかけており申し訳ない気持ちはあるので、謝ることしかできませんでした」
男性は「とても悔しかったです」と当時の心境を振り返り、「結局無理がたたって仕事ができないほど身体を壊してしまい、退職しました」と括っている。
業務量を制限しない旨の診断書も、男性の上長が深夜残業をしていたことも事実だろう。しかし正論を盾にした思いやりのない対応や発言が、男性を追いつめ病気を悪化させたこともまた事実だ。人の上に立つ人は、無意識のうちに「ロジハラ」で言葉の暴力を振るってはいないか自戒するべきかもしれない。
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