■ロシア
傾向として、ロシア人の交渉はWin-Lose思考が強めです。譲歩を強いられると、感情的になる、さらには途中で退席してしまうことすらあると言われています。
ほかにも、例えば、口約束でまとまりかけていた案件があっても、一度心変わりしてしまうと、相手からの電話やメールに応じない、話す機会すら設けないということも聞きます。日本人相手にビジネスをするロシア人全員がこのような態度をとるとは考えにくいですが、もしそんなことがあっても「文化」と割り切って、ひるんでしまわないようにしましょう。
ロシアには「信用する前に調べろ」ということわざがあり、彼らは特に初対面の相手には慎重で、疑い深い傾向があります。さらには「意味のない笑顔はバカの印」「友情は友情、仕事は仕事」といったことわざもあり、これはよほど親しい相手でないと笑顔で内面をさらけ出さない、ビジネスにおいて不要なスモールトークは避けるという傾向をよく言い表しています。
また交渉の序盤で突然怒って椅子を蹴って会場から出て行ってしまうことがあると言います。ただこれはロシア人の交渉の作法のようなもので「自分たちはこの交渉に真剣に臨んでいるんだ」という単なる意思表示であると言われています。このような場合、日本側も、何かのきっかけで、「だったら日本に今すぐ帰る!」と豪語して席を立つぐらいのパフォーマンスが必要だと言えます。くれぐれも相手が怒って席を立ったからと言って、ビビってしまい、早々にこちらの用意した妥協案を出したりすることがないように注意が必要です。
■プロフィール 竹村和浩(たけむら・かずひろ)
英語プロコーチ:ビジネス・ブレイクスルー大学経営学部 准教授。(株)ユニバーサル・エデュケーション代表取締役・CEO。ALL ABOUT ビジネス英会話ガイド。エグゼクティブ英語コーチングを得意とし、役員対象個別指導での実績多数。英語公用語採用企業、国内外大手企業のグローバル人材の育成に従事。著書に、『世界基準のビジネス英会話』、『世界基準のビジネス英会話 重要交渉戦略15パターン』(三修社)など多数。
※本記事は竹村和浩氏の著書『世界のグローバルリーダーが使いこなす交渉の秘訣』(自由国民社 1600円+税)を再構成したものです。


