タクシー乗務員として働く男性(60代前半)から、キャリコネニュースにブラック企業体験談が寄せられた。男性が働くタクシー会社では、労働時間「8時間」、休憩時間「45分以上」で、拘束時間は「13時間以内」という規定になっている。 しかし、算出方法はかなり会社に都合よく運用されているようだ。
「洗車や待機も労働時間である事は当然なのですが、機械の自動集計で車が動いていない時間は、例えば信号待ちですら全て休憩にされ、ハンドル時間として出力します」
と男性は明かす。ハンドル時間とは、「運転している時間」のことだが、出力される時間は、実際とは大きくかけ離れているという。(文:okei)
「休憩をとらずに13時間勤務しろという事です。 残業代は出ません」
男性は、「会社の言い分はハンドル8時間以内」というが、そんなことはないそうだ。
「実際には年末の繁忙期に夕方から朝までほとんど止まらずに走り続けても8時間にはなりません。 ようは、休憩をとらずに13時間勤務しろという事です。 残業代は出ません。 それどころか、売り上げが少なければ遅刻早退という名目で基本給を減額され、1日8時間分の最低賃金すら下回る事もあります」
と実態を語り、憤りをあらわにした。
会社の過酷な締めつけは、労働時間にとどまらない。男性は、「更に今は、社員を外注請負契約扱いに変更する動きが強いです」と明かす。
「社会保険等の会社の負担を無くし、最低賃金も無くし、売り上げの◯%だけしか払わないという契約です。勤務実態は社員となんら変わらず、一種の偽装請負契約です」
つまり、人件費のコスト削減のため、社員としてではなく個別に「請負契約」扱いにしようという動きだ。男性は、
「さすがの我が社も一方的不利益変更まではしてきませんが、月1回の乗務員研修の場で『いかに外注請負は素晴らしいか』、あの手この手で説得したり、ときには脅したり。この半年はまともに研修すらしておらず、そんな無駄な話を聞かされています。 気の弱い人は会社の言いなりにされています」
と、従業員にとって苦しい社内の雰囲気を打ち明けた。
会社側が一方的に労働者に不利な就業規則の変更をすることは法律で禁止されている。ただ、男性が語った研修の実態からは、人件費削減のために会社が強引な労働条件の変更をしようとしていることがうかがえた。コロナ禍で経営が厳しいとはいえ、従業員に負担を押し付けようとするやり方は、ブラック企業そのものと言えそうだ。
※アンケート概要
■実施期間
2019年12月19日~
■回答数
819 ※8月30日時点
(記事では、2021年5月6日以前に寄せられた投稿を紹介)
■アンケート対象
キャリコネメルマガ会員(63万人)やキャリコネニュース読者、キャリコネニュースSNSフォロワー
■実施方法
アンケート集計ツール「クエスタント」を使用
回答ページ https://questant.jp/q/G42CZUHP
■質問項目
・体験した「ブラック企業」エピソードを教えてください。