筆者がニュージーランドの会社でプログラマとして働いていたときのことです。ある日の朝のリモート会議中、ニュージーランド人の同僚がこんな発言をしました。
「今日は1時から美容院の予約があるので中抜けします。2時ごろにまた戻ってきますね」
えっ、それってOKなの!? と面食らいましたが、ほかのメンバーは一切気にしていない様子。実際その同僚は夕方のミーティングにすっきりした頭で現れました。
わたしがかつて働いていた日本のIT企業では、毎日大量のタスクをこなすことで精一杯。10分ほどコンビニに出かけるのもはばかられる雰囲気でした。仕事中に髪を切りに行くなんて発想がまったくなかった自分にとって、これはかなりのカルチャーショックでした。同じような仕事をしているのに、なぜこんなに違うのでしょうか?(文:はっしー)
ジムで筋トレ、カフェでコーヒー……カジュアルな理由で中抜け
私が働いていたニュージーランドの会社では、コロナでテレワークになる前から、実にカジュアルな理由で中抜けする人がたくさんいました。ジムで筋トレして、シャワーを浴びてから仕事に戻ってくる人。近所のカフェでコーヒーを楽しんでくる人もいました。ある夏の日には、チームリーダーが「今日めちゃくちゃ暑いからアイスでも食べに行こう!」と言い出して、チーム全員でジェラートショップに出かけたこともあります。
最初は戸惑いましたが、1年が経つ頃には自分もすっかり慣れてしまい、引っ越しの内見のため週に2?3日中抜けする、なんてことも平気でするようになりました。
そもそも「適正な業務量」じゃないと厳しい……
では、中抜けできる職場の条件とは、どんなものでしょうか?
1つ目の条件は「即対応が必要ないこと」です。即レスが求められる職場では、気軽な中抜けは許されないでしょう。
2つ目の条件は「適切な業務量」です。そもそも「残業してギリギリ終わる」みたいな想定で仕事を詰め込まれていたら、中抜けは難しい。
3つ目の条件は「人員体制」です。一人が短時間抜けるだけで職場全体がストップしてしまうような環境でも、中抜けは無理です。
まとめるとポイントは、職場に時間的・人員的な「バッファ」「余裕」があるかどうか、でしょうか。
ところで、そんな余裕があるなんて、結局「ぬるくて非効率」な、レベルの低い職場だけなのではないか、と思う方もいるかもしれません。しかし、これが意外とそうでもなかったりします。
というのも、人間の集中力には限界があるからです。集中力を取り戻すには、休憩や気分転換が不可欠です。当然ながら集中力が高い状態で作業する方が「仕事の質」は高まります。どうせ「1日8時間」しか働かないなら、集中力を失った状態でダラダラ作業するのは逆にダメで、むしろリフレッシュして戻ってきたほうが効率がいい、と考えることもできます。結局、職場全体としてみたときの生産性はこちらのほうが高かったりすることもあるのです。
もちろん、プログラマがこうした働き方に特に向いている職種ではあるのですが、仕事の質が集中力に左右され、1時間程度のラグなら許容範囲内の仕事は、世の中に多々あると思います。コロナ禍でリモートワークを試してみて、「中抜けしても意外と業務が滞らなかった!?」という人もいたのではないでしょうか。わたしは今後、いろいろな職場でこういう働き方が増えてくるのではないかと思っています。
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