2017年じゃ、もう手遅れ? 転職するなら「2016年までに済ませておくべき」という説
今年の新卒は売り手市場と言われているが、転職市場もなかなかの好況だ。「売り手優位のうちに転職したい」と心の中で考えている人もいるかもしれない。とはいえ、そのタイミングには悩むだろう。
事業調査会社を経営する中村和己氏は自身のブログに、転職するなら「2016年のうちに」と勧めるエントリーをあげている。しかしアベノミクスの好影響はまだ続いているし、2020年には東京五輪が控えているのに、なぜ2016年なのだろうか。
「金銭解雇」で大企業の正社員の立場も危うい?
転職といえばキャリアアップというイメージもあるが、中村氏は「解雇される危険性のある会社から安全な会社に移る」といった避難的な意味合いを強調する。そして、安全な会社への転職が今しかない理由を3つあげている。
1つ目にあげられたのは、2016年中に「解雇の金銭解決」が法制化される可能性だ。これが導入されれば「日本でも解雇が定着する可能性が見えてきた」というのだ。
確かに政府の規制委員会は、解雇が裁判で不当と判断された際、労働者側から申し立てがあれば金銭補償で紛争を解決できる制度を提言している。「カネでクビにできる」という趣旨ではないが、中村氏はこの制度が拡大解釈されるリスクを指摘し、今まで難しかった正社員の解雇が簡単になるかもしれないという。
2つ目は、「アベノミクスが崩壊する危険性」だ。不況になってしまえば、企業は社員の解雇に踏み切る。世界経済も中央銀行の量的緩和政策でなんとか維持している状態だ。株価が下がれば企業を直撃し、業績の悪化は雇用の悪化を招いてしまう。
3つ目は、「大卒の男性社員が飽和状態である」ということ。団塊世代は大卒者が少なかったため、その分賃金の負担も少なかった。しかし今では大卒の中高年が増えてしまい、その賃金が企業にとって最も負担なのだという。
2017年以降は「少ない椅子の奪い合い」になるのか
以上の理由を考えると、2016年の転職には「値千金の価値がある」とのことだ。中村氏は、どのような企業からどのような企業に移ることが望ましいとは明かしていないが、
「短期的には給料が下がるから損するように見えるが、中長期的に見て解雇されるよりは生涯賃金が大きくなる可能性が高い」
と指摘している。大手企業でリストラ対象者となるくらいなら、転職市場が比較的好況な今のうちに、中堅・中小企業に居場所を求めた方がいいと解すこともできる。
2017年になれば、企業が解雇をしやすくなっているおそれがあるため、転職市場に人が溢れる。そこに不況が重なれば採用数は減り、少ない椅子の奪い合いだ。元々コストのかかる大卒の中高年者は、企業から敬遠される可能性も増す。ネットには記事に刺激を受けて、
「転職するなら2016年がラストチャンスって後半年…」
「一度の人生、今のままでいいか考える時期が来たんですね」
と転職を現実的に考えた人の声があがっていた。
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