それは今から20年以上前、当時20代で正社員としてアパレルブランドショップの店長として働いていたときのことだ。件の上司は40代の女性で役職はエリアマネージャーだった。定期的な飲み会の場など“プライベートでは楽しい人”ではあったが、仕事中はすぐ怒るタイプで他の女性スタッフがビクビクするほどだったという。
普段エリアマネージャーは2か月に1度ほどしか店舗に訪れず、やり取りはほとんど電話で行っていた。「基本的にはハイハイと言うことを聞いていましたが、どうしても納得できなければ反論していました」といい、電話でサービス残業を強要された際もその姿勢を崩さなかったようだ。
本来、残業時間は1分単位で算出するのが原則だが、当時その会社では残業は30分単位で切り捨てとされていた。そこで女性は会社のルール内で最低限の残業だけして帰ろうとしたわけだ。
この件を他店の店長に相談したところ、他の店長からもエリアマネージャーにサービス残業を強要されていることがわかった。その店長が「部長に話してみる」と、店長たちを代表して上に伝えてくれた。
「このときは、とにかくエリアマネージャーに不平不満をぶつけたかった」
その結果、部長がエリアマネージャーに注意することになった。ただ、なぜか「匿名ではなく『サービス残業をしろ』と言われた人の名前を出すのが条件」だった。それでも大丈夫かと聞かれたが、「どうぞどうぞ!と思いました。迷いはなかったです」とのことだ。
「もちろん改善を求めての訴えですが、このときは、とにかくエリアマネージャーに不平不満をぶつけたかったので、私が言っていると知られても全然平気でした。彼女は元からキツい人なので日常的なお怒りの対応は上手くなっていましたし、さらにキツくなったとしても普段は一緒にいないので何とかなるかなと思いました」
結局、エリアマネージャーは部長から大目玉をくらったという。その後、サービス残業の強要はなくなった。しかし、
「その後も、電話のみでのやり取りだったのですが、要件を伝え終わるとこちらが話そうとしてもガチャンと切られました。ほとぼりがさめたころ元に戻りましたが、お互いにわだかまりが残っていたと思います」
と明かす。なんとも大人げない対応だ。ちなみにこの勤め先について、「いくつかブランドがあり、オリジナル商品も扱っていた有名な会社です。ただ、現在は勢いを失っているようです」とコメント。
「古い話で今さら感があるかもしれませんが、私の会社員人生の中でも特に印象に残っている出来事のひとつです」
と振り返っていた。
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