「この会社ほど真っ黒なところはそうそうないでしょう」と自社のブラック企業ぶりに愛想を尽かすのは、医療機器の製作会社で働く30代後半の男性だ。男性の会社はとにかく離職率が高く、引き継ぎ前に会社を辞める人や、後釜が来た途端に退職する人が後を絶たない。その原因について男性は、
「自称経験者なワンマン社長によるパワハラと、生産調整を行わないことによる余裕がまったくない納期です」
と明かす。どうやら諸悪の根源は社長の経営方針にあるようだ。(文:福岡ちはや)
医療機器なのに「素人考えで設計を行っている」!?
男性によれば、社長は「表沙汰になれば犯罪行為で逮捕されてもおかしくないようなこと」をやる人物とのこと。まず驚くことに、男性の会社はオーダーメイドの医療機器を売り物にしているにもかかわらず、「素人考えで設計を行っている」のが実態だという。
「図面から構造から、何から何まで一言では表せないくらいの問題があります。まぁ、図面見ればまったく勉強していない素人の設計だとわかりますが。そのような考え方の社長ですので、設備投資も行わず、製造業とは無縁の趣味のレベル程度の道具しかありません。道具に金をかけないタイプなので、ハッキリ言って良いものは作れない会社です」
このような企業体質は、技術者の男性としてはつらいものがあるだろう。さらに厄介なことに、社長は発言と行動が一致しておらず、「ドンドン意見をくれ」と言う社長に男性が意見を出したところ、いきなり逆上されて支離滅裂なことを言われたそうだ。男性は当時を思い出し、
「『俺をもっとリスペクトしろよ!ここのボスは俺だぞ』と罵詈雑言の嵐です」
と呆れ返った。理不尽に怒るのなら、初めから「意見をくれ」などと言わないでほしいものだ。男性は、
「給与が低すぎることや、決してこの先も絶対に上がることがないので、よほど奇特な人間でなければ長居はできません。社長本人が『昇給はありません。賞与もありません』と言い切っています。ただ、私のように給与や福利厚生で騙されて会社に入るケースもあるので気を付けたほうが良いです」
と警鐘を鳴らし、最後は自分を納得させるかのように、
「さんざんな目に遭いましたが近々退職予定なので、もうあまり気にしていません。芸の肥やし程度にはなったと思っておきます」
と締めた。
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