理不尽な上司の下で働くのはつらい。秋田県の50代男性が、製造業の会社で事務職をしていたときの直属上司がそんな人だった。
男性が中途採用で入社した当初は「当たり障りなく過ごしていた」。だが、直属上司の上司にあたる人が退職し、後任として親会社を定年退職した人がやってきた。それから「だんだん状況が変わってきた」と振り返る。男性は2人の問題上司に翻弄されてしまうのだった。(文:福岡ちはや)
直属の上司も人が変わってしまい……
その人物は、かなり尊大な性格だったらしく、男性は、
「基本、仕事をしているより、ただ座っているだけ」
と苦々しく語った。また、片手で数えるほどしか製造現場に足を運んだことがないのに「些細なことに口出し」し、「今まで業務上で認められたことを否定」してくるため、男性は困惑したそうだ。それでも指示通りに仕事しないと、「俺に反抗するのか、お前をクビする」と言われてしまう。現場はさぞかし混乱したことだろう。
それなのに男性の直属の上司は、この新しい上司に「ゴマすり」を始めた。「俺は親会社から来た上司に認められる仕事をしている」と豪語し、「仕事がうまくいかなくなると八つ当たりする」など男性への接し方まで変えてきたそうだ。男性は直属上司の変わりようを「自分が出世する布石」だと皮肉り、
「上司は昇格して徐々に本性が見え始めてきた。自分の意に沿う人には優しく接し、不手際があっても『次には気をつければいい』とだけ話して終わりで済ましている」
と不満を語った。
男性が部署異動となった際に新しい業務の質問をしても、上司は「そんなの自分で考えろ」「俺は詳しくないから」と冷たい対応だったという。男性は「このままでは仕事に支障をきたすので、外部の研修会に参加させてほしい」と懇願したが、2人の上司は口をそろえて「そんなこと認めない」と答えたそうだ。こうした一連のできごとから、男性は「体調不良になり、しばらく病院通いと休職する状態になった」という。
その後、その会社は訳あって廃業したそうだ。
「ちなみにこの上司が取得できなかった国家資格に合格したときは気持ちが少し晴れました」
やはりゴマすりで出世できる会社に未来はないのかもしれない。