女性が勤めていた頃、その会社では家電量販店にメーカー販売員を派遣していた。「軒並み国内家電メーカーが派遣切りして、かなり先細りな経営だった」が、捨てる神あれば拾う神あり。社長は飲み屋で大手クレジットカード会社の上層部と知り合い、コールセンターの仕事を得たのだった。
そして女性に、「明日からそのコールセンターで研修受けて。来週からは3人入社させるからお前が研修しろ」と指示を出したのだが……
「現場は大手複数のコールセンターが委託されてて、こっちは急に入ってきた新参者。さらに私は電話応対スキル皆無で、研修して入社してきたバイトも長続きせず席を空ける日々で、私が終日受電業務をする」
社長に無茶振りされて心労が溜まる一方だっただろう。それから1年後、前述の通り体に症状が現れた。そんな女性を見て社長は「やばい」と思ったようで、その仕事から撤退。だが社長はその後も迷走する。ついに女性の堪忍袋の緒が切れる出来事が起きたのだ。
「社長は『飲食店をやりたい』と言い出し、私にスナックのママをしろと。物件を見に行かされ、食品衛生の講習を受けさせられ、ようやくこの会社ダメだと思い、物件を見に行った帰り退職を告げた」
この会社に10年勤めていた女性は相当な忍耐力の持ち主だが、さすがに「スナックのママをしろ」は受け入れられなかったようだ。これまでと業務内容がかけ離れすぎていて、無理もない。
退職から数年後、当時の同僚に会った女性は、「あれから社員全員が退職し会社はなくなった」と聞いたという。大して驚かなかったのではないだろうか。
また自身について、現在「コールセンター業務」に就いているとも明かした。前職で経験がなく、派遣社員を研修できなかったことへのリベンジの意味合いもあるのだろうか。
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