冬のボーナスの支給額を見て、複雑な心境になる人が多いようだ。愛知県の50代男性(検察事務官/年収900万円)は、
「国家公務員管理職ですが総支給額約120万円です」
とし、昨年と変わらなかったと肩を落とす。ボーナスに加え、後日「差額支給」もあるという。秋頃に行われる給与改定で上がった分を、4月から遡り12月分までまとめて支給されるという制度だ。だが男性はこれも素直に喜べないようだ。(文:天音琴葉)
「我々は給与やボーナスの削減を当たり前にされてきたのに……」
男性は差額支給について、次のように説明する。
「本年度人事院勧告により若手職員は月額2万円以上昇給しますが、給与法の改正が成立していないので今回のボーナスには反映されていないので後日差額支給があります。ただ、管理職クラスの上がり幅は微々たるものなので大した差額にはなりません」
差額支給に関しては、若手のほうが管理職よりも多くなる見込みのようだ。そのことで男性は、こう不満をこぼす。
「我々クラスはこれまで給与削減やボーナス削減を当たり前のようにされてきたのに、最近は賃上げムードに押されて若手世代はかなりの昇給幅でうらやましいです」
とは言うものの、これから若手世代には、物価高が続く中で結婚や子育てが待ち受けている。賃上げは必須だろう。その上で男性は「人事院に言いたい」と続けた。
「世代平等に賃上げしないと景気はよくなりません、我々世代は教育費や介護費にお金がかかるのです」
50代は子育てと親の介護が重くのしかかる上に、自身の老後の資金も貯めなければならない。しかも物価高と増税は止まる気配がない。国家公務員の管理職という恵まれた職に就いている男性ですら不満や不安でいっぱいの日本は、子どもたちの目にどう映っているだろうか。