【ショーンK騒動】なぜ多くの人が騙されたのか? 詐欺師も多用する「ハロー効果」とは
しかし、ショーン氏が同誌の取材に応えたところでは、テンプル大学卒はウソで学位はなし。ハーバードのMBAについても、外部の人間も聴講できるコースに3日間程度参加しただけ。パリ第一大学もオープンキャンパスで聴講しただけで、正規の留学ではなかった。
さらに、公式サイトではショーン氏が代表を務める経営コンサル企業の「マネジングパートナー」が紹介されているが、これも全くの別人の画像が使われており、その実態もとことん怪しい。
まさに嘘に塗り固められた経歴だ。それにもかかわらず「報道ステーション」(テレビ朝日系)、「とくダネ!」(フジテレビ系)といった番組に出演。グローバル感覚を備えたエリートという立場で堂々と世相を語っていたのは、逆に凄いとも言える。
ネットでもすぐに話題になり、ツイッターには「報道ステでもまともなこと言ってて、全然詐欺には見えないから、すごい努力した詐欺」「あんなに何もかも偽れるものかw」と驚愕する声が相次いだ。
過去の似たような事例として、「全聾の天才作曲家」として話題になった佐村河内守氏や、研究結果の捏造や盗用で東大の博士号を取り消しになったトルコ人のアニリール・セルカン氏を思い出す人も。米国海軍大佐を騙って1970年代から結婚詐欺を繰り返した「クヒオ大佐の再来」というツイートもある。
多少怪しくても「経歴」が凄ければ人は信じこむ
心理学で使われる用語に「ハロー効果」というものがある。ハローとは「後光」のことだが、社会心理学者・渋谷昌三氏は著書『この人の言っていることは本当か? ウソ・ハッタリを見抜く心理学』の中で、以下のように説明している。
「ある人に特別に優れた特徴があると、その人の性格や能力を実際よりも一段と高く評価する傾向のこと」
クヒオ大佐の場合は、「米海軍大佐」「エリザベス女王の甥」といった肩書がハロー効果を生み出していたと指摘。どんなに怪しいところがあっても、華々しい経歴がそれを覆い隠してしまうのだという。
詐欺師が医師や弁護士、パイロット、実業家といった職業を名乗るのもハロー効果を狙ってのもので、ショーン氏のケースも同様だと思われる。ネットでは、
「思い返せば、当たり障りのない誰でも言えるコメントしかしてなかった」
といった声も相次いでいるが、「MBA持ちの経営コンサル」が言っていると思うと、それなりに聞こえてしまうものなのだろう。それに加え、あのハーフ顔に、いかにもデキる男といった出で立ちとなると、もはや疑う方が無理だ。
「復帰したら婚活塾を開いて」とカムバックを期待する声も
文春砲を受け、ネットには「ハーフはウソで純粋な日本人」「マクアドルも偽名」といったウワサの他、特徴的な鼻筋を「整形」と指摘する人も出ている。いずれも信憑性は定かではないが、一度信用を落とすと徹底的に疑われる「逆ハロー効果」といえるかもしれない。
ショーン氏は16日、テレビやラジオの6番組の出演自粛を申し入れ。活動再開するのかどうかさえも不明だが、ツイッターでは、「コンサルやめて俳優したらええのに。もったいない」「復帰したら婚活塾を開いて欲しい」とカムバックを期待する声が出ていた。
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